温かみのある真空管アンプを中心に温故知新の組み合わせで楽しむ
【プレーヤー】デノン DP-400 6万7100円
(1)ベルトドライブ方式。DCモーター。33回転1/3、45回転、78回転。
ワウ・フラッター0.1%以下。S/N比62%。
MM型カートリッジ。フォノイコライザー内蔵。
幅414×高さ105×奥行き342mm、5.6kg(ダストカバー除く)。
問い合わせ:デノン・マランツ・D&Mインポートオーディオ
お客様相談センター 電話:0570・666・112
【アンプ】トライオード Luminous84 17万6000円
(2)AB級プッシュプル・ステレオプリメインアンプ。
定格出力11W+11W。消費電力130W。使用真空管6BQ5×4本、12AU7×3本。
S/N比79dB(デシベル)。幅305× 高さ170× 奥行き255mm、11.4kg。
問い合わせ:トライオード 電話:048・940・3852
【スピーカー】ポークオーディオ R100 7万7000円
(3)2ウェイバスレフ型。感度86dB。
ミッド・ウーハー:5.25インチタービンコーン、
ツイーター:1インチピナクル・リングラジエーター。
幅166×高さ324×奥行き260mm、5.5kg。
問い合わせ:デノン・マランツ・D&Mインポートオーディオ
お客様相談センター 電話:0570・666・112
「アナログ音源のレコードには、想像以上に音の可能性が秘められています。それを最大限に引き出すのがオーディオの役目。近年は各メーカーも再びアナログに力を入れていて、最新の優秀な機器を使えばこれがレコードか、と驚くほどいい音で音楽が楽しめます」
そういうのはオーディオ評論家の麻倉怜士さんだ。内外のオーディオに詳しい麻倉さんに、再入門に向く組み合わせを価格帯別に「プラン1」〜「プラン3」として組んでもらった。
「プラン3」では、レコードと相性のよい真空管アンプを中心に組んだ。合計すると30万円を超えるシステムとなるが「信頼できる真空管アンプを組み込むと、これが最低限のライン」と麻倉さん。麻倉さんが選んだアンプは、国産のトライオードである。同社の製品で、もっとも普及価格の機器になる。
「トライオードは日本を代表する真空管アンプのメーカーです。回路に工夫を凝らし、レコードの持つ無限ともいえる情報をうまく引き出し、現代の音として蘇らせてくれます。加えて、真空管ならではの温かみも感じます。レコードとの相性はベストでしょう」
アンプ
自分だけの音を探す楽しみ
プレーヤーは歴史のあるデノン製だ。同社もレコードの再生に力を入れていて、プレーヤーのラインナップが充実している。
「レコードをカッティングした角度とプレーヤーの針が拾う角度が違うと、トラッキングエラーという音の歪(ひず)みを発生させます。本モデルには、トラッキングエラーを防止する機構が搭載され、忠実な再生を実現しています。ダストカバーがレコードスタンドになるアイデアも楽しくていいですね」
プレーヤー
スピーカーは米国のポークオーディオだ。求めやすい価格で音がよく、北米ではトップクラスの売り上げを誇るメーカーだ。
「バランスがよく、深く艶のある音を響かせてくれます。アンプの出力が大きくなったかのように鳴らしてくれる、明朗なスピーカーです。美しい仕上げの外観で、真空管システムとよく合います」
スピーカー
最後に麻倉さんはこう語る。
「音の好みは人それぞれ。ぜひ、販売店の試聴コーナーなどで、自分だけの音を探してみてください」
【監修】麻倉怜士さん(オーディオ評論家・72歳)
日本経済新聞社、プレジデント社を経て、評論家として独立。津田塾大学講師(音楽理論)などを務めた。レコードレーベルの「ウルトラアートレコード」主宰者のひとり。
取材・文/宇野正樹 撮影/植野製作所 スタイリング/有馬ヨシノ
※この記事は『サライ』本誌2023年6月号より転載しました。