噂のコンフェイト入手に成功!(C)NHK

ライターI(以下I):今週も前半に濃厚な武田信玄(演・阿部寛)が登場しました。〈もし家康(演・松本潤)が北条と組み、われらを攻めてきたら〉という心情を吐露していました。確かにその連合が実現していたら信玄にとって脅威だったと思います。ということでざっくりと「家康の安全保障」について考えましょう。

編集者A(以下A):北条家の当主氏康は今川氏真(演・溝端淳平)の正室糸(演・志田未来)の父です。ですから家康と北条・今川による同盟になったのではないでしょうか。相模、駿河、遠江、三河という「東海道同盟」ですね。なんかものすごく強力な連合に感じますが、実際にはその同盟は構築されずに、家康は尾張の信長と組み、武田とは今川領の分割を談合する関係になります。

I:一寸先は闇とも地獄ともいうべき戦国時代にあって、誰と組むかは生死をかけた重大問題だったんですね。今川氏真がもう少ししっかりしていたら「北条・今川・徳川」という連合もあったのですかね?   

A:あったら面白いですけど「関ヶ原で小早川秀秋が裏切らなかったら」ということを考えるのと同じように「IF」の世界ですからね。なかなか結論は出ないですよね。

I:さて、今週のびっくりは家康嫡男の信康(演・寺嶋眞秀)と信長息女の五徳姫(演・松岡夏輝)がすでに夫婦になっていたことです。「え? いつの間に」という印象でしたが、なんだかおままごとみたいなふたりでした。その五徳姫から南蛮渡来のコンフェイトのことが語られました。砂糖菓子の金平糖のことですね。

A:3年前の『麒麟がくる』では、人質になっている幼い松平竹千代に明智光秀(演・長谷川博己)が干し柿を与え、竹千代が「甘い」と応える印象的な場面がありました。飽食の現代とは異なり、干し柿に極上の甘さを感じていた人々にとって、南蛮渡来のコンフェイトの甘さはどのように感じられたのでしょう。極上の甘さに喜んだのでしょうか。それとも異次元の甘さに戸惑ったのでしょうか。想像するだけでも楽しくなります。

I:金平糖を国産できるようになったのは、江戸時代に入ってからのようです。ですから、劇中の時代はそれこそ南蛮人から譲ってもらうしかない。高価というだけでなく、そういうコネクションがなければ入手できなかったはずです。ちなみに同じ時期にコンフェイトだけではなく、カステラやボウル(ボーロ)、ビスカウト(ビスケット)などが国内に入ってきていますね。

A:以前、長崎県平戸のカスドースなどを取材しました。日本における洋菓子の歴史を探るのは楽しいですが、コンフェイトは金平糖になって、なぜか日本風の菓子になっているのが不思議です。

I:ところで、家康がコンフェイトの入手を頼んだのが茶屋四郎次郎(演・中村勘九郎)でした。『いだてん』で主演を張った中村勘九郎さんが、4年ぶりに再び大河に戻ってきてくれました。

A:勘九郎さんといえば、2004年の『新選組!』の藤堂平助役が思い出されますね。あれからもう20年近くにもなるのですね。

I:三河出身の武士が刀を捨てて都に出て、豪商となっていた茶屋四郎次郎にコンフェイトを入手するのを依頼して、茶屋は見事にコンフェイトを入手してきます。南蛮人にルートがあったのでしょう。

A:さて、家康は京に入って公家や僧侶などとの面会を精力的にこなす様子がコミカルに描かれました。なんだか、おなかが痛くなって寝込んでしまいましたが。

I:ストレスですぐおなかが痛くなる設定ですね。

完全にバカ殿設定された最後の室町将軍

白塗り化粧の将軍足利義昭(演・古田新太)。(C)NHK

I:家康の上洛にあわせて家臣団も京に入りました。京の女性は三河の女性と違うとか言ってましたが……。

A:この時期の京って応仁の乱後の荒廃からどの程度復興していたのかって思うのですよね。朝廷でいうと儀式の類を行なう資金が不足していたともいいますし。むしろ尾張の津島や越前の一乗谷のほうが賑やかだったのではないかといつも思います。

I:上洛した家康が将軍足利義昭(演・古田新太)に謁見しますが、なんとなんと、義昭は化粧を施して、その風体も明らかに愚将。家康が五徳や瀬名(演・有村架純)、亀(演・吉田帆乃華)へのお土産にと携帯していたコンフェイトを無造作にぼりぼり食べてしまいました。

A:ここまで足利義昭をデフォルメしてしまうのはあまり見たことがないですね。明らかにバカ殿設定。大河ドラマ義昭史上もっともバカっぽい義昭ではないでしょうか。

I:しかも家康の懐にコンフェイトが入っているのを義昭に「密告」したのがどうやら明智光秀(演・酒向芳)という設定でした。わずか3年前の『麒麟がくる』のキャラクター設定とのふり幅が……。

A:大人はともかく、小学校4年生~5年生くらいで『麒麟がくる』を見ていた子どもたちは戸惑ったかもしれないですね。あまりにキャラが異なりますものね。

I:こんな光秀に信長を殺されたくないですね。私はそう思いながら見ていましたよ。

お市の方の侍女の「衝撃」。次ページに続きます

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