家康サイコー!大河ドラマ「真田丸」徳川家康の描き方にあえて物申す【時代劇、勝手に応援し隊 第一夜】

内野聖陽(徳川家康役)/大河ドラマ『真田丸』-(C) NHK

内野聖陽(徳川家康役)/大河ドラマ『真田丸』-(C) NHK

文/堀口茉純(お江戸ル/歴史作家)

私の人生を変えた時代劇が二本ある。大河ドラマ「秀吉」と三谷幸喜先生脚本のドラマ「龍馬におまかせ!」だ。どちらも96年制作。当時中学1年生だった私はあまりの面白さに衝撃を受け、自分も歴史を伝えることを生涯の仕事にしようと誓った。

大河と三谷作品が大好きな私にとって「真田丸」はご褒美以外の何物でもなく、オープニング曲を聴くだけで泣けるくらいにはのめりこんでいる。もちろん第一話から欠かさず視聴し続けているのだが、その中でただ一つ、ササクレのように気になりつづけている事がある。徳川家康の描き方だ。

主人公が真田幸村(信繁)である以上、家康はラスボスであるから敵役として憎たらしく描かれるのはしかたない。演じている内野聖陽さんも、そういった立ち位置を寧ろ楽しんでいるかのような、清々しささえ感じる見事な悪役っぷりである。

私のような時代劇&歴史オタクであれば、そうした制作サイドの意図をくみ取り「真田視点で描くと家康はこうなっちゃうよね~(笑)」という気持ちで納得して見られるのだが、耐性のない一般視聴者はどうだろう。「家康サイテー!」なんて思ったりはしないだろうか。ただでさえイマイチ人気がない家康。最終回を迎えるころにはさらに不人気に拍車がかかっていたらどうしよう!そんな不安がぬぐいきれない。

世間が真田レッドに染まる中だが声を大にしていおう、私は徳川家康を超絶リスペクトしている。何故なら彼は戦国時代を終わらせて平和な世の中を創るという、信長にも秀吉にも、もちろん真田幸村(信繁)にもできなかった偉業を成し遂げたからだ。

「真田丸」のラスボス・徳川家康。“織田が撞き 羽柴がこねし天下餅 座りしままに食うが徳川” なんて揶揄されたりもしますが、ホントにすごい人なんです! 「道外武者御代の若餅」国立国会図書館所蔵

「真田丸」のラスボス・徳川家康。“織田が撞き 羽柴がこねし天下餅 座りしままに食うが徳川”なんて揶揄されたりもしますが、ホントにすごい人なんです! 「道外武者御代の若餅」国立国会図書館所蔵

その思いの一端を垣間見ることができるのが家康が行った印刷事業である。

彼は関ヶ原の合戦の数か月前に「貞観政要」という本を出版した。これは中国史上最高の名君とされる唐代の皇帝・太宗の言行録で、いかにして平和な社会をつくるべきかの指南書になっている。天下分け目の大戦を前にして、家康は「この戦いの後に、貞観政要に描かれているような平和な時代を創ります!」というマニュフェストを掲げていたのだ。その公約は実行に移され、世界史上稀に見る平和な時代を創り上げた。

果たして三谷先生は「真田丸」最終回までに家康の汚名を返上するようなシーンを描いてくれるだろうか。三谷先生なら必ずや・・・!と期待しつつ、内心ハラハラしながら今日もNHKにチャンネルを合わせる。

【勝手におうえんリンク】
NHK大河ドラマ「真田丸」 http://www.nhk.or.jp/sanadamaru/

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文/堀口茉純(ほーりー)
東京都足立区生まれ。明治大学在学中に文学座付属演劇研究所で演技の勉強を始め、卒業後、女優として舞台やテレビドラマに多数出演。一方、2008年に江戸文化歴史検定一級を最年少で取得すると、「江戸に詳しすぎるタレント=お江戸ル」として注目を集め、執筆、イベント、講演活動にも精力的に取り組む。著書に『TOKUGAWA15』(草思社)、『UKIYOE17』(中経出版)、『EDO-100』(小学館)、『新選組グラフィティ1834‐1868』(実業之日本社)がある。

『江戸はスゴイ』世界一幸せな人びとの浮世ぐらし
(堀口茉純・著、PHP新書)

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【印刷博物館企画展示「武士と印刷」】
■会期 : 2016年10月22日(土)~2017年1月15日(日)
■休館日 : 毎週月曜日(ただし1月9日(月・祝)は開館。12月29日(木)~1月3日(火)、1月10日(火)は休館)
■開館時間 : 10:00~18:00(入場は17:30まで)
ほーりーが音声ガイドを務める企画展示。「貞観政要」も解説しています。
http://www.printing-museum.org/exhibition/temporary/161022/index.html

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