「あれ? なんて漢字だったけ」と悩むことが多くなっていませんか? 少しだけ思い出す努力をしてみるものの、結局は「まあ、いいか」と諦めることもあったりして、記憶の衰えを実感することもあるのではないでしょうか? しかし、思い出すことが記憶力の鍛錬につながると言われています。
動画を見ながら漢字の読み書きをすることで、脳のトレーニングとなります。また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。
「脳トレ漢字」第122回は、「巣窟」をご紹介します。「悪の巣窟」などの言い回しを、耳にしたことがあるのではないでしょうか。
脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。
「巣窟」はなんと読む?
「巣窟」という漢字、読み方に心当たりはありますか? 「すくつ」ではなく……
正解は……
「そうくつ」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「居住する場所、すみか」と説明されています。「拠点」や「アジト」といった意味合いで使われる言葉です。
また、“居住する場所”の中でも特に「悪党のすみか、悪人の隠れ家」を指すことも。例えば「麻薬密売人の巣窟」や「悪の巣窟」といったように、悪い人達が集まり、隠れる場所という文脈で使われることが多いです。
「巣窟」の漢字の由来とは?
「巣窟」を構成する漢字を一文字ずつ見ていきましょう。「巣」は「隠れ家(かくれが)」を意味します。鳥の巣のように、木の上に人がつくったすみかを想像させます。ちなみに「巣」は音読みで「す」と読みますが、「巣窟」の場合は「そう」です。同様の読みをする熟語には「病巣(びょうそう)」「卵巣(らんそう)」「帰巣性(きそうせい)」などが挙げられます。
「窟」は「人の集まったところ、隠れ家」という意味です。「窟」には「いわや」「ほらあな」という訓読みもありますが、これは「人や動物が、仲間同士で集まるところ」を表現しています。
つまり「巣窟」は「巣」も「窟」もどちらも「すみか」という同じ意味の字を重ねてできた熟語といえます。「巣(樹上の住居)」と「窟(いわやの住居)」が合わさっていると考えると、言葉のイメージがしやすいのではないでしょうか。
「窟」と似た語「崫」
「窟」とよく似た形をした語に「崫」があります。「崫」も「窟」と同じく「くつ」と読みます。一般的には「崛」と表記される「崫」ですが、字義は「山のさま」です。訓読みは「そばたつ」であり、「山が高くぬきんでる、そびえるさま」を表しています。
「窟」と「崫」はどちらも「屈(くつ)」を音符に持つ形声文字です。そもそも「屈」には「かがむ」の意味があります。「窟」では「身をかがめて入る穴、いわや」の意味を、「崫」では「不安定なかがむ形の山」の意味を表しているのです。
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いかがでしたか? 今回の「巣窟」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 読めそうで読めない漢字には、何度も触れることで記憶の定着に繋げていきましょう。
来週もお楽しみに。
文/トヨダリコ(京都メディアライン)
アニメーション/貝阿彌俊彦(京都メディアライン)
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