ほんとうに辛く切ない全成の最期

赤い首飾りをつけた実衣と、怪我を負わされた全成。「誰も恨んではいけないよ」という全成の優しさが沁みる。(C)NHK

A:ともすれば暗くなりがちな流れの中で、この夫婦は一服の清涼剤的な存在でした。それだけになんとも切ない回になりました。最期に自分の血を見て〈実衣……〉という台詞が出てくるとは……。実衣役の宮澤エマさんも号泣しちゃったようです。

〈台本を読んだ時点で号泣してしまって。こういう結末が待っているというのはもちろん、わかってはいたんですけど、そこをどう三谷さんが描かれるのかがわからなかったのと、実衣が全成の死にどう関わって、何を感じてどう反応するのかというのはまったく予測できていなかったので、全成さんの死を聞いたときの実衣のたたずまいや、彼女が義時に聞く質問というのが、実衣らしいなとすごく感じました〉

I:このコメントにあるように、実衣が義時に執拗に全成の最期の様子を問い質していました。私は、涙が止まりませんでしたよ。全成・実衣ファンにとって、ほんとうに辛く切ないシーンになりました。

A:首を落とされた瞬間に嵐が止み、空が青くなったと義時が説明していました。 きっとこの瞬間から130年後につながっていたんじゃないですかね(詳しくはこちら→https://serai.jp/hobby/1085181)。

I:宮澤エマさんが「全成さんの好きなところ」を語ってくれました。 それがまた、私の想いにドンピシャの内容だったのでうれしくなりました。

〈いろいろあるんですけど、秘密にしておきたいところもあります。なんでかというと、二人にしか分からないことなんだと思うんですよね。周りから見ていると「なんであの二人がとか「あの人のどこが好きなんだろう」とか思うかもしれないけど、実衣と全成は似た者どうしというか、言い方は不思議ですけど〈共犯者〉のような感じなんです。それぞれ立派な一族の中でもふわっとした立ち位置で、ちょっと忘れられがちで、何をしているのかよく分からなくて、という、すごく共鳴する部分が二人にはあるんだと思うんです〉

A:「秘すれば花」ってことですよね。この夫婦にお似合いの言葉ですよね。〈言っていることがよくわからないところに惹かれました〉って台詞がありましたけど、不思議なところが魅力でした。

I:全成はこの回で落命しましたが、実衣はこれからも登場し続けます。政子同様に尼さんになるのか、キャラ変があるのかどうか含めて、目が離せないですね。

ドラマティックな全成の最期。(C)NHK

●編集者A:月刊『サライ』元編集者(現・書籍編集)。歴史作家・安部龍太郎氏の『半島をゆく』、鎌倉歴史文化館学芸員の山本みなみ氏の『史伝 北条義時』などを担当。初めて通しで見た大河ドラマが『草燃える』(1979年)。先日、源頼朝のもう一人の弟で高知で討たれた源希義の墓所にお参りした。

●ライターI:ライター。月刊『サライ』等で執筆。『サライ』2022年1月号 鎌倉特集も執筆。好きな鎌倉武士は和田義盛。猫が好き。

構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり

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