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高齢化が進み、ますます身近になっている認知症。じつは、その予防にうってつけのメニューがあるのです。それが、みそ汁。

日本人にとってもっとも身近な一品・みそ汁にどんな秘密があるのか。

たまねぎ氷の考案者で料理研究家・村上祥子さんの著書『安心みそ汁365 認知症予防にはコレ!』(セブン&アイ出版)から、みそ汁の驚くべき力をひもといてみましょう。

■65歳以上の7人に1人が認知症を発症

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いま、認知症になる人が増えています。

認知症とは、記憶力や判断力、思考能力が著しく低下し日常生活に支障をきたした状態。身近なことが思い出せなくなる、幻覚を見る、徘徊、うつや不安感など、症状は多岐にわたります。

厚生労働省の統計によれば、現在の日本国内の認知症患者数は約462万人(2012年時点)。じつに、65歳以上の高齢者の7人に1人を占めます。

団塊の世代が75歳以上に達する2025年には700万人に届き、65歳以上の約5人に1人を占めると推計されています。

しかもこの数字は、認知症の前段階である軽度認知症や、65歳未満で発症する若年性認知症は含んでいません。こうした予備軍や若年性患者も含めれば、もはや認知症は決して他人事とはいえないのです。

■不健康な生活習慣が認知症を招いている

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認知症はどうすれば防げるのでしょうか。

本書では、認知症に詳しい筑波大学名誉教授・朝田隆医師が認知症の発症経緯について解説しています。

認知症発症の原因はさまざま。遺伝の影響がクローズアップされがちですが、じつは環境や生活習慣も深くかかわっています。

たとえば、塩分のとりすぎは高血圧から動脈硬化、さらに脳こうそくや脳出血を招き、血管性認知症の原因になります。

また、塩分の多い料理を食べるとついついお酒や白いごはんも進んでしまい、肥満や糖尿病のリスクを高めます。

すると異常なたんぱく質が脳にたまっていき、それがアルツハイマー型認知症を招く原因になるのです。

認知症全体のうちアルツハイマー型認知症が6割、血管型認知症が2割を占めるといわれており、生活習慣の影響がいかに強いかがわかります。

■1杯のみそ汁が認知症の予防になる理由

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では、みそ汁がそんな認知症の予防になる、とはどういうことでしょうか。

本書で村上さんは「毎日のバランスのよい食事は、認知症のリスクを下げるためにとても大切です」といいます。

これまで見てきたように、遺伝のリスクがあってもそれだけで認知症が発症するわけではありません。生活習慣を整えて必要な栄養素をとり、塩分を控えて高血圧や肥満、糖尿病を避けることが予防になるのです。

そして、バランスのよい食事を毎日とる、という点において、みそ汁は多くのメリットを持っているのです。

日本人の野菜摂取目標は1日350グラムですが、みそ汁なら生では食べきれない100グラムの野菜もかさを減らし、1杯でしっかりとることができます。

認知症予防において、野菜をたくさんとることはとても大切。野菜に含まれる抗酸化物質は、アルツハイマー型認知症の発症リスクである活性酸素を無毒化するはたらきも持っています。

一方で、肉や魚などのたんぱく質は神経伝達物質の材料としても使われ、認知症予防に欠かせない栄養素です。みそ汁なら肉や魚、卵、豆腐などたんぱく質食材も具にしやすく、手軽にとることがでるのです。

加えて、ポイントはみそ。

みそ自体、体で作ることができない必須アミノ酸9種類、ビタミン、食物繊維、ミネラルなど栄養豊富。1日1杯のみそ汁を食べることで糖尿病を防ぎ、ひいては認知症の予防にもなるのです。

■塩分カットの秘訣は具を多めにするだけ

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みそ汁で心配なのは、やはり塩分。塩分のとりすぎは高血圧や動脈硬化につながり、血管性認知症のリスクを高めます。

一般的なみそ汁の塩分量は1杯で平均1.5グラム。「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によれば、成人の1日の塩分の目標値は男性8グラム未満、女性7グラム未満ですから、みそ汁の塩分は気になるところです。

一方、村上さんの提案する安心みそ汁は1杯の塩分が平均1.0グラム以下と塩分ひかえめ。

村上さんは「みそ汁の塩分が高くなるのは、多すぎる水分(汁)に味をつける必要があるから」と分析します。

村上さんの安心みそ汁は、1杯で野菜100グラム、タンパク質食材50グラムと驚くほど具がたっぷり。その分汁が少なめになり、塩分も抑えられるというわけなのです。

具を多めにすることで、汁からとる塩分も減らせて塩分と栄養バランスを両立する……。毎日食べるみそ汁だからこそ、こうしたちょっとした工夫が大きな効果をもたらします。本書では、全部で365のみそ汁アイディアを紹介。

「おいしくなければ続かない。

簡単でなければ続けない。

続けられれば、認知症予防ができる。

それが、安心みそ汁です。」

ちょっとわがままに聞こえるかもしれませんが、続ける秘訣はムリをしないこと。毎日のちょっとした工夫で、認知症と無縁の人生を送りたいものです。

 

【参考図書】
『安心みそ汁365 認知症予防にはコレ!』
(村上祥子・著、本体1,280円+税、セブン&アイ出版)

 

文/編集部

 

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