正しい意味を理解し、適切に漢字が使えているのか、疑問を感じることが増えていませんか? 適当に漢字を使ってしまい、気付かないところで「恥をかいている」ということがあるかもしれませんね。
Google先生やデジタルデバイスの出現により、便利になった反面、情報の中身については十分な吟味が必要な時代になっております。あなたの“漢字の知識”は確かでしょうか? もう一度、確認しておいても良いかもしれません。
「脳トレ漢字」第83回は、「言質」をご紹介します。「言質を取る」といった使い方を目にしたことがあるかもしれません。
脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。
「言質」はなんと読む?
「言質」という漢字、読み方に心当たりはありますか?「げんしつ」でも「ことじち」でもなく……
正解は……
「げんち」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「のちの証拠となる言葉」と説明されています。「言質を取る」と言えば、「あとで証拠になる言葉を相手から引き出す」という意味です。反対に、交渉や約束の相手にとって証拠となるような有利な言葉を残してしまうことを、「言質を与える」といいます。
なお「言質」には「げんしち」「げんしつ」という読み方もあります。これらは、間違った読み方がいつの間にか一般化した「慣用読み」に該当します。間違いではありませんが、「げんち」という方が適切です。
「言質」の漢字の由来とは?
「言質」を構成する漢字を一文字ずつ見ていきましょう。「質」を「しち・ち」という発音で使う場合は、「約束を守る保証として相手に預けておくもの」という意味を持ちます。「人質」や「質屋」などがそうです。また「言」は「言葉」を意味しますから、「言質」とは、証拠のために人“質”に取られた“言”葉ということなのです。
混同しやすい言葉「言葉質」とは?
「言質」と同じ意味を持つ言葉として挙げられるのが「言葉質(ことばじち)」です。「言葉質」と「言質」は読み方や漢字が似ているため混同しやすく、間違って「言質」を「ことじち」と読んでしまうことがあります。
「言質」の読み方は慣用読みも含めて、「げんち」「げんしち」「げんしつ」と複数あります。ただ「ことじち」とは読まないので、「言葉質(ことばじち)」と混同しないように注意が必要です。
***
いかがでしたか? 今回の「言質」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 言葉の読み方に疑問を抱いた際には、正しい意味を理解し、適切に漢字が使えているのかを確認してみることが大切です。
来週もお楽しみに。
文/豊田莉子(京都メディアライン)
アニメーション/鈴木菜々絵(京都メディアライン)
HP:http://kyotomedialine.com
Facebook:https://www.facebook.com/kyotomedialine/