文/堀けいこ
パソコンの画面で友人たちの顔を見ながら会話を楽しむ。スマートフォンで孫たちの元気な顔を見る。そんな生活が少しずつ当たり前になってきた今。大好きなアーティストのライヴを配信で楽しむというスタイルも定着しつつある。昨年から、一流アーティストたちのライヴを積極的にインターネット配信(有料)してきたブルーノート東京。10月10日には、音楽生活70周年を迎えた渡辺貞夫のステージを配信で観覧できる。配信ライヴを体感する絶好の機会だ。
ミディアム・アンサンブルでありながらビッグバンドを彷彿させる豪華なサウンドが魅力
言わずと知れた日本を代表するサックス・プレイヤー渡辺貞夫。長年にわたり変わらないスタンスで国内外で演奏活動を続けてきたが、2月に87歳の誕生日を迎えた今年は、音楽生活70周年。それを記念して、ブルーノート東京では10月8日から3夜連続で「特別編成で贈るビバップの夜」と謳ったステージが繰り広げられる。
これまで渡辺貞夫はブルーノート東京で、海外ミュージシャンとのセッション、オーケストラを率いてのステージ、レギュラー・メンバーとのカルテット編成など、様々なスタイルで観客を楽しませてきてくれたが、今回は、ピアノ、ベース、ドラムスによるレギュラー・バンドに、日本を代表するホーン・プレイヤー4管(トロンボーン、テナーサックス、トランペット×2)を迎えた特別編成。ミディアム・アンサンブルでありながら、ビッグバンドを彷彿させる豪華なサウンドが期待できる。スウィング感あふれる4ビートのナンバーから、ホーンのハーモニーが際立つブラジリアン・テイストのバラードまで、オリジナル曲を中心にした選曲で披露される。
1940年代に始まったモダン・ジャズのスタイル「ビバップ」からスタートした渡辺貞夫。70年を経てそこに立ち戻る今回は、その後に積み重ねた長いキャリアで培われた幅広い音楽性をも感じ取ることができる特別なステージになるだろう。満員御礼が予想されるが、最終日となる10月10日の2ndショウのインターネット配信(有料)が決定している。ライヴ(生)配信後も視聴できるアーカイヴ配信(翌11日23時59分まで)もあるので、当日見逃した場合や、繰り返し見たい場合にも、楽しむこともできる。
歳月を重ねるほどに熟成した演奏と音楽性が観客の心を捉えて離さない渡辺貞夫。そのステージを“観る”楽しみは、もうひとつある。それがファッション! ビバップ時代のアメリカのジャズ・ミュージシャンの“粋”に習ったのか、若い頃から彼のファッション・センスの高さには定評がある。これまでのブルーノート東京のステージでも、毎回おしゃれなジャケット&ネクタイというスタイル姿で魅せてくれた。今回はどんな着こなしでアルトサックスを携えてステージに登場するのだろう。開演が楽しみでならない。
スケジュール
2021年10月8日(金)〜10月10日(日)
※インターネット配信
10月10日(日)2ndショウのみインターネット配信実施予定(有料)
公演内容・配信視聴についての詳細
http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/sadao-watanabe/
会場:ブルーノート東京
東京都港区南青山6-3-16
ご予約/お問合せ 電話:03-5485-0088
文/堀けいこ