どうにも思い出せない漢字、増えていませんか? しばらく考えてみるものの、結局は諦めてしまう。そんなこと、多くなっていますよね。こうした諦めが、忘れてしまう漢字を増やしてしまうことになっているのかもしれません。脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。
近年、日本を含め世界中で過去に一度も起きなかったような事態が起きています。そんな時、ニュースや新聞報道で「未曾有の事態」という言葉が頻繁に使われますね。さて、この「未曾有」について、正しく読むことはできますか? また、いざ漢字で書くとなると「どう書くんだったかなぁ~」なんてちょっと悩んだりしないでしょうか。
■誤読の多い漢字、「未曾有」
「未曾有」は誤読の多い漢字としても知られています。「未曾有」を「みぞうゆう」と誤読して話題となった首相がいたことを、記憶されている方もいらっしゃるかもしれませんね。「みぞうゆう」は間違いですので、ご注意ください。
また、かつて「未曾有」は、「みぞうう」とも読まれていました。誤りではありませんが、「みぞう」と読むのが一般的でしょう。
「未曾有」は、地位のある方、博識だと言われている方でさえ読み間違えをすることのある言葉です。かつての首相のように恥をかくことのないように、正確に理解しておきましょう。
■未曾有の意味とは?
「未 (いま) だ曾 (かつ) て有らず」と書いて、「未曾有」。「未曽有」とも書きます。「曾」は常用外漢字であるため、最近では常用漢字の「曽」が使われています。どちらも誤りではないため、好みに合わせてお使いください。
それでは、「未曾有」の意味を解説していきましょう。
1:今までに一度もなかったこと。また、非常に珍しいこと。希有 (けう) 。
2: 十二分経の一つ。仏・菩薩 (ぼさつ) による奇跡を記した経典。
(出典:デジタル大辞泉(小学館))
ニュースや新聞報道で使われている「未曾有」は、1番目の意味を表しています。
■未曾有の語源・由来
未曾有の語源は、古代インドの言語である梵語の“奇跡”を表す「adbhuta」(アドゥブタ)の訳語になります。仏教が中国に伝来した時、梵語の「アドゥブタ」を三蔵法師が「未曾有」と翻訳したのが始まりです。仏教教典で「未曾有」は、仏教で理想とする仏の悟りを得た境地「涅槃」(ねはん)の同義語として用いられています。いわば仏教の究極を表す語なのです。
しかし、時代が進むにつれて、現代日本では好ましくない状況で使われる機会が増えています。
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いかがでしたか? 「未曾有の災害」、「未曾有の危機」などというように多用される「未曾有」が“奇跡”を表す言葉から生まれたことをご存知だった方は少ないかもしれませんね。
今回の脳トレ「未曾有」は、皆様の漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 来週もお楽しみに。
文/京都メディアライン
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