「漢字が書けない」と言っても、いろいろなパターンがありますよね。以前は書けていたけれど書けないという漢字、字画が多くて書けないという漢字、読めないから書けないという漢字もありますよね。
今回は、読めそうで読めない漢字をご紹介します。脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。
今回の漢字は、「一入」。たった三画しかなく、「一」も「入」も小学校一年生で習う漢字です。とてもシンプルですが、正しく読むことはできますか?
「脳トレ漢字」第3回目は、この「一入」という漢字について、紐解いていきます。
■「一入」は、なんと読む?
さて、この読めそうで読めない「一入」。“いちいり”とも“いちにゅう”とも読みません。「喉まで出ているのに、思い出せずにもどかしい…」という方も多いのではないでしょうか?
そこでヒントとなる「一入」を使った例文をご紹介します。
・「ひなたに出ると、暑さも一入だ」
・「時間をかけて出来上がった作品を見ると、感慨も一入だ」
どうでしょう? 読み方が分かり、すっきりされた方も多いのではないでしょうか。
正解は「ひとしお」です。
簡単な漢字であり、言葉自体も難しいものではないにも関わらず、読めない漢字というものはあるものですね。改めて漢字の奥深さを感じます。
続いて意味や語源についても解説していきましょう。
■一入の意味とは?
「一入」の意味は下記の通りです。
1:ほかの場合より程度が一段と増すこと。多く副詞的に用いる。いっそう。ひときわ。「苦戦の末の優勝だけに喜びも一入だ」「懐しさが一入つのる」
2:染め物を染め汁の中に1回つけること。「―再入(ふたしほ)の紅よりもなほ深し」〈太平記・三六〉
(出典:デジタル大辞泉(小学館))
普段から使われるのは、1番目の意味ですね。2番目の意味は原義となりますので、次の項目で詳しく見ていきましょう。
■一入の語源・由来
「一入」とは、先述したように、染め物を染料に1回入れて浸すことが語源となっています。「一入」の「入(しお)」は、染める物を染料に浸す回数を数えるときに使う言葉となりますよ。
染め物が浸す前に比べて、よりいっそう濃く染まるということから転じて、通常の状態やその前の段階と比べると、何らかの理由や過程により、程度が一段と増した時に使う表現となりました。
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「一入」と関連する言葉として、「八入(やしお)」、「千入(ちしお)」という言葉もあります。どちらも「何度も染料に浸して染めること」を意味しますよ。染料に浸す回数を数える「入(しお)」を覚えておけば、どちらも難なく読むことができますね。
いかがでしたか? 今回の「一入」という言葉は皆様の漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? お役に立てたとしたら、喜びも“一入”です。
来週をお楽しみに。
文/京都メディアライン
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