岩手県雫石町、十和田八幡平国立公園の豊かな自然の中に網張温泉があります。1000年の歴史を誇る名湯で、青みがかった白濁の湯は、万病に効くといわれ、明治時代には湯治場としても栄えたところでした。
現在は休暇村「岩手網張温泉」があり、冬はスキー客で賑わいます。休暇村本館から山道を歩くこと約10分、沢沿いにある「仙女の湯」は、野趣溢れる豪快な温泉です。
利用は5月中旬~11月中旬、混浴ですが、女性はバスタオルを巻いての入浴が可能です。
岩づくりの湯船のすぐ近くを滝が流れているので、入浴しているとまるで滝に打たれているように感じてしまいます。泉質は硫黄泉で、少し熱めのピリッとする湯ですが、周りの溢れるような緑と白い濁り湯の調和が美しく、ついつい長湯したくなります。
この「仙女の湯」とは別に、日帰りの温泉施設もあり、大浴場・露天風呂も備わり、温泉三昧の一日が過ごせます。周辺には見どころ豊富な小岩井農場がありますので、休暇村に宿泊し、じっくり観光をするのもおすすめです。
取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。