日本では65歳以上の高齢者の人口は年々増加傾向にあり、総人口に占める割合は世界1位です。また、日本人の平均寿命は年々延びており、100歳を超える高齢者は過去最高の71,238人との調査結果もあります。一方で健康寿命との乖離が指摘されており、平均寿命が男性81.25歳、女性87.32歳であるのに対し、健康寿命は約10年短いのが現状です。そこで、キューサイ株式会社が「100歳まで楽しく歩こうプロジェクト」(https://100aru.com/)が、2016年より100歳以上の方100名と、そのご家族・近親者様を対象に生活実態調査を行っています。「リハビリテーション栄養領域」の視点から、100歳の「食事」「運動」の実態から長寿の秘訣をひも解いていきましょう。

■100歳100人の3日間の食事日誌〜約9割の食事で卵・豆腐などの「たんぱく質」をしっかりと摂取

元気な100歳以上の方に、3日間の朝食・昼食・夕食、計9食の食事内容を 「3日間の食事日誌」 として記録していただきました。その結果、3日間の食事900食のうち、たんぱく質をしっかりと摂取した食事は809食(約89.9%)と分かりました。
特によく食べられていた食材は、「鶏・うずらなどの鳥の卵」が31.9%、「豆腐(厚揚げ等も含む)」 22.7%、「牛乳」が22.6%で、続いて「ハム、ソーセージ、ベーコンなど肉の加工品」が15.6%、「豚肉」・「タイ・タラ・カレイ・鮭/サーモン等の白身魚」が13.9%となり、動物性たんぱく質を含む食材が上位にあがっています。
また、1食でたんぱく質を多く含む食材が2品以上食されていることも調査から明らかになりました

■「誰かと一緒に食事を摂っている人」は8割超

元気な100歳以上の方に、食事の時は誰かと食卓を囲んでいるかを聞いたところ、「ほとんど誰かと一緒に食べている」が70%、「時々1人で食べることもあるが、誰かと食べることが多い」が11%となり、8割以上の方が誰かと一緒に食事を摂っており、家族や友人と会話をしながら食事を楽しまれているようです。
また、元気な100歳以上の方に、残っている歯の本数を聞いたところ、「3/4くらい残っている」が6%、「半分くらい残っている」が15%、「1/4くらい残っている」が12%という結果となり、約3人に1人はご自分の歯が残っていることが分かりました。
また、義歯も含めて58%の方が「食事の時に前歯でお肉をかみ切ることができる」、同じく59%の方が「奥歯で固い食べ物をかみ砕くことができる」 と、「自力で食べ物をかむことができる」との回答があり、半数以上の方が自分で咀嚼して食事をとっていることも判明しました。
そして、以前から通っているかかりつけの歯医者があると答えた方は49%と、ほぼ半数に及びました。口腔機能の低下は身体の衰えの一つともいわれ 、食事をするための「歯」も大切にされていることがうかがえました。

■長寿の秘訣に「食」を挙げた人は5割以上

元気な100歳以上の方に「長寿の秘訣」を聞いたところ、「腹八分目」、「好き嫌いなく何でも食べる」、「3食をきちんと食べる」など、55人の方か ら「食」についての回答がありました。中には「好きなものだけを食べる」「お肉料理が大好きでよく食べる」など、好きなものを食べることが秘訣 という回答もありました。

【長寿の秘訣に関するコメント】
・好き嫌いなく何でもよく食す。特に肉、魚、煮物、フルーツが大好き。(茨城県/100歳/女性)
・朝食はいつもパンを食べている。牛乳もかかさない。(茨城県/100歳/女性)
・自分の健康や食べ物に気をつかい、特に納豆を毎朝食べるように心がけている。(千葉県/100歳/男性)
・食事をきちんととり、バランス良く3日に1度はお肉を食べるように気をつけてきた。(佐賀県/100歳/女性)
・三度の食事は肉を主として食べる。好き嫌いがなく何でも食べる。(大阪府/100歳/女性)

■元気な100歳は、世間の出来事に関心があり、若い人との会話を楽しんでいる

元気な100歳以上の方に、新聞などを読んでいるかを聞いたところ、55%が新聞などを読んでおり、世間の出来事に関心があるようです。同様に、若い人に自分から話しかけることがあるかを聞いたところ、76%、約4人に3人は話しかけることがあるそうです。元気な100歳以上の方は、情報に接することを好み、周りの人とのコミュニケーションを楽しむなど、社会とのつながりを持っている姿が見られます。

■健康長寿には、たんぱく質をしっかり摂り、筋肉量を維持しましょう(医師による健康長寿のためのコメント)

「まず、『歳を取ったら粗食』の考えは改める必要があります。健康長寿には『たんぱく質』をしっかり摂取することが大切です。また、何を食べるかだけではなく誰と食べるかも大切で、一人で食事をする(孤食)のではなく、人と食事の時間を過ごすことも健康で長生きする秘訣でしょう。さらに、食のためには『歯』を大切にすることも重要です。
また、筋肉量の維持こそ健康長寿の秘訣ともいえます。」

<吉村 芳弘(よしむらよしひろ)先生プロフィール>
日本サルコペニア・フレイル学会理事。熊本リハビリテーション病院リハビリテーション科副部長・栄養管理部長。医師。専門分野はリハビリテーション医学と臨床栄養学。外科医師の経歴から術後のリハビリテーションの重要性を痛感し、現在はリハビリテーションと栄養管理に並行して取り組む「リハビリテーション栄養」という視点から、積極的に臨床研究や講演を行っている。

***

いかがでしたか? 元気な100歳の方々は、食事や身体に気を遣っているだけでなく、若い感性や好奇心を持ち続けていることがわかりました。私たちもいつまでもそうありたいですね。

調査概要
・調査時期:2019年6月19日(水)~ 7月16日(月)
・調査地域:全国
・調査方法:100歳以上の方ご本人に対するヒアリング、ご家族に対する質問用紙による自記入式調査
・調査主体:キューサイ株式会社「100歳まで楽しく歩こうプロジェクト」
・調査実施:株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント
・抽出方法:調査実施機関のリクルートネットワークを用いた機縁法リクルート
・調査対象:100歳以上の男女100名、100歳以上の方のご家族・近親者(寝たきり生活者と病院入院者は対象から除外して実施)

 

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