写真・文/矢崎海里
粉のイメージが強い山椒ですが、5月~6月頃には「実山椒」が流通します。
その名の通り山椒の実で、ちりめん山椒や漬物などに多く使われています。
ミカン科の山椒は爽やかな香りとピリリとした刺激が特徴で、減塩調理の強い味方。
料理に加えることで味が引き締まり、調味料の使用が少なくて済むほか、食欲増進効果も期待できます。
今回は実山椒の下処理方法と保存方法、おすすめの減塩レシピをご紹介します。
実山椒の下処理方法
1.実山椒は枝から一粒ずつ実を外し、たっぷりの水にさらす。水を数回変えながら、半日あく抜きする。
2.沸騰したお湯で数分茹でる(指の腹でつぶれるくらいのかたさが目安)
3.冷水にさらして冷ます。味見してみてあくが強いようならさらに水にさらしてあく抜きをして、ざるにあげる。
小さな枝を取るのは時間がかかりますが、その分口当たりがよく仕上がります。
山椒は水にさらす時間が長ければ長いほど辛みが和らぐので、ゆでた後に好みの辛みになっているか味見するのがおすすめです。
下処理した実山椒は、オイル漬けや醤油漬け、ちりめん山椒などさまざまなメニューに加工できます。
なかでもオイル漬けはオイルにも山椒の風味が移り、保存もできます。
作り方は簡単で、清潔な容器に山椒を入れ、山椒が浸かるくらいの量のお好みのオイル(今回はオリーブオイル)を注ぐだけ。
パスタやあえ物、ドレッシングなどに使用すると、ピリリと料理のアクセントになります。
塩などは加えていないので、冷蔵庫で保存して、1か月程度で食べきりましょう。
今回は、この実山椒のオリーブオイル漬けで作るマリネと、下処理した実山椒を使ったサバの味噌煮のレシピをご紹介します。
夏野菜の実山椒マリネ
【材料】(1人分)
トマト 1/2個
オクラ 2本
実山椒のオリーブオイル漬け 小さじ1
めんつゆ(3倍濃縮) 小さじ1
【作り方】
1.オクラは沸騰したお湯でさっとゆで、冷水にとり、輪切りにする。トマトは一口大の乱切りにする。
2.実山椒のオリーブオイル漬けとめんつゆを加え、和える。うつわに盛り付けて完成。
山椒の香りが移った、風味豊かなオリーブオイルと甘めのめんつゆがよく合う、和風のマリネです。
お好みの季節の野菜で作ってみてください。
実山椒をごま油で漬けておけば、中華ナムル風のおかずになります。
食塩相当量:0.6g
実山椒入りサバの味噌煮
【材料】(1人分)
サバ 1切れ(100g)
★水 100cc
★酒 大さじ2
★砂糖 大さじ1/2
★おろし生姜 小さじ1
実山椒 小さじ1
味噌 大さじ1/2
いんげん 適量
【作り方】
1.サバの切り身に熱湯(分量外)をかけ、流水でぬめりや汚れを取り、水気をふき取る。
2.いんげんは食べやすい幅に切り、耐熱容器に入れ、ふんわりラップをして600Wの電子レンジで1分半加熱する。
3.フライパンに★の材料と1のさばの皮を上にして入れ、火をつける。中火で加熱し、沸いたら弱火にして実山椒を入れ、味噌を溶かす。
4.落とし蓋をして煮汁がとろっとするまで煮る。
5.うつわに盛り付け、2のいんげんを添えて完成。
いつものサバの味噌煮に山椒をプラス。
ピリッとした刺激の効いた、アレンジレシピです。
サバは熱湯をかけ、ぬめりなどを洗い流すことで生臭さを軽減しています。
さらに山椒と生姜はサバの臭み消しにも。
青魚が苦手という方にもおすすめのレシピです。
食塩相当量:1.3g
* * *
実山椒は下処理後、小分けにラップに包んでチャック付き保存袋に入れれば、冷凍庫で長期保存ができます。
大型スーパーなどでは野菜売り場に並んでいることも多いので、見かけたらぜひ手に取ってみてくださいね。
文/矢崎海里(やざき・かいり)
管理栄養士やフードスペシャリストなどの資格を生かし、企業で働く傍ら、Webメディアでも活動。おいしく食べて健康になれるごはんを研究中。