写真・文/矢崎海里
いわしの一般的な旬は5月から9月といわれています。
なかでも梅雨時期に水揚げされるいわしは「入梅いわし」と呼ばれ、1年で一番脂が乗っているのが特徴です。
良質な脂だけでなく、たんぱく質やビタミン、ミネラルも多く含まれているほか、不足しがちなビタミンDも多く含まれています。
今回は旬のいわしを使った減塩レシピをご紹介します。
さんが焼き
【材料】(1人分)
いわし 1尾
長ねぎ 1/4本
みょうが 1個
生姜 1かけ
味噌 小さじ1
大葉 4枚
サラダ油 小さじ1
【作り方】
1.いわしは3枚におろして皮を取り、包丁でよく叩く。
2.長ねぎ、みょうが、生姜はみじん切りにして1と合わせる。
3.2に味噌を混ぜて2等分にして、それぞれ大葉を巻く。
4.サラダ油を熱したフライパンで両面焼いて完成。
さんが焼きとは、千葉県の郷土料理です。
あじやいわし、さんまなどの魚をなめろうにして焼いたもので、たっぷりの薬味が入っています。
包丁でねばりが出るまでしっかり叩くことがポイントで、これにより薬味と混ぜたときに成形しやすくなります。
3枚おろしや開いてあるいわしを購入すると、手軽に作れますよ。
いわしにはたんぱく質や鉄、ビタミンDやEが多く含まれています。
なかでもビタミンDはカルシウム代謝に関わり、カルシウムやリンの吸収を促すはたらきがあります。
ビタミンDは日光を浴びることで皮膚でも合成されますが、近年多くの人がビタミンD不足というデータもあり、いわしから効率よく摂るのがおすすめです。
食塩相当量:0.8g
いわしのガーリックトマト煮
【材料】(1人分)
いわし 1尾
小麦粉 小さじ1
玉ねぎ 1/8個
にんにく 1かけ
カットトマト缶 100g
白ワイン 大さじ1と1/2
顆粒コンソメ 小さじ1/2
胡椒 適量
オリーブオイル 大さじ1
パセリ(みじん切り) 適量
【作り方】
1.いわしは頭を落として内臓を取り除き、水気をふき取り小麦粉をまぶす。
2.玉ねぎとにんにくはみじん切りにする。
3.フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れて弱火で加熱する。香りがたったら1を入れて両面焼き色がつくまで焼く。
4.両面焼けたら一度いわしを取り出し、同じフライパンに玉ねぎを入れてしんなりするまで炒める。
5.カットトマト缶、白ワイン、顆粒コンソメ、胡椒を加えて中火で5分ほど煮込む。
6.いわしを戻して水分を飛ばしながら数分煮込み、火を止める。
7.うつわに盛り付けて、パセリを散らして完成。
にんにくが効いた、食欲のそそるたっぷりのトマトソースと食べるレシピです。
先に小麦粉をまぶしてオリーブオイルでカリっと焼いてから煮込むことで、煮くずれを防ぎます。
いわし以外にもサバや白身魚などでもアレンジできます。
魚を小さく切って作れば、パスタソースにもなりますよ。
いわしには不飽和脂肪酸であるDHAやEPAが多く含まれていて、なかでも旬のこの時期は脂が乗っていて、良質な脂質が補えます。
これらの成分は調理法によっては大きく減ってしまい、焼く・煮る調理で20%、揚げる調理で50%も減少してしまいます。
生で食べるのが一番効率よく補えるとされていますが、トマト煮込みは調理途中で流れ出る脂も逃さず旨味としてソースに活用できるのがポイントです。
ほかにも生姜煮やホイル焼きなどの調理法もおすすめです。
食塩相当量:0.7g
* * *
いわしは古くから庶民の魚として親しまれてきました。
今回ご紹介したさんが焼き以外にも、各地にいわしを使った郷土料理があります。
ぜひ定番以外の食べ方でも楽しんでみてくださいね。
文/矢崎海里(やざき・かいり)
管理栄養士やフードスペシャリストなどの資格を生かし、企業で働く傍ら、Webメディアでも活動。おいしく食べて健康になれるごはんを研究中。