2019年、100歳で世を去った日本画家の堀文子さん。新作を目にすることはもう叶わないが、堀さんの生き方や残された絵は、今もなお、感動を与えてくれる。
堀さんは、自身の年齢を気にすることなく、常に新しいことに挑戦し続けた。「命といふもの」の連載もそのひとつだ。本誌『サライ』にて連載を始めたのは、86歳の時のことである。
自身の絵に、折々の思いを言葉として添える。編集部は当初、これまで描いた絵に文章を付けることを想定したが、堀さんは断った。《今まで、心にしみていながら絵にしなかったものが、私には山ほどある。それをこの小さな舞台に引き出すことにしよう》(『堀文子画文集 命といふもの第1集』)
今まで誰も描かなかった絵を描きたい。堀さんのその思いが結実したのが、この連載だった。ここには新鮮な驚きがある。「これを機会に、どこにも描けなかったテーマに向き合いたい」と、一作ごとに熱中した。
今回、特別に連載のために描かれた一点ものの日本画の原画や、珠玉の作品の複製版画を購入することができる。ぜひ堪能していただきたい。
日本画家 堀 文子(ほり ふみこ)
『名もなき草達』額装
今回、堀文子さんが描いた日本画(原画)だけでなく、版画作品もご紹介する。これらは小学館メタバース「S-PACE」内に設けられた「サライ美術館」に展示されている。展覧会のように鑑賞でき、俳優の檀ふみさんの音声ガイドが聴けるほか、展示作品を購入することもできる。
メタバースとはインターネット内の仮想空間のこと。小学館が運営するメタバースを「S-PACE」(https://s-pace.land)と名付けた。参加は無料で、アプリも必要なく、スマートフォンやパソコンから誰でも利用できる。
【今日の逸品】
『名もなき草達』額装
ナカジマアート
176,000円(消費税込み)