皆さんは、漢方薬と聞くとどんな印象がありますか? 「苦いけど体によさそう」「葛根湯は知っているけど……」など、「そもそも漢方ってどんなもの?」と思っている方も多いのではないでしょうか。
そんな基本的な漢方に関する疑問や基礎知識を、漢方の専門家にわかりやすく解説してもらいます。 第69回のテーマは、「むくみ・水太り体質の『痰湿(たんしつ)』に効く漢方」です。あんしん漢方(オンラインAI漢方)の薬剤師、中田早苗さんに教えてもらいました。
痰湿とは
東洋医学では、気血水という考え方があり、胃液や汗など体のなかの水分(津液)は「水(すい)」に当たります。この「水」が滞りなく巡ることで、健康を維持していると考えます。
痰湿とは、水分のバランスが乱れ、水分の巡りが悪くなることで、余分な水分がうまく排出できずにたまってしまう状態です。そのため、健康が維持できず体の様々な部位に不調が起きやすくなります。
また、水分の巡りが悪くなると毒素や老廃物も排出されず、体にたまってしまいます。
「乱れた生活習慣による代謝の低下」や「水分や冷たいものの過剰摂取」「お酒や乳製品、油っぽいものや塩からいものの摂りすぎ」「梅雨のようなじめじめとした湿気の多い時期」などが、痰湿になる原因の一例です。
痰湿体質は、悪化すると脂質異常症や糖尿病といった重大な病気になりやすいので、漢方や養生での体質改善が推奨されます。
痰湿の人にあらわれやすい症状
痰湿の人は、以下のような症状があらわれやすい傾向にあります。
1.むくみ
むくみは痰湿の代表的な症状です。痰湿の人は、余分な水分が排出されずにたまるため、むくみが起きやすくなります。悪化すると「たくさん食べていないのに太る」という水太りになる可能性があります。
2.倦怠感
痰湿が原因の倦怠感の場合、余分な水分によって体が重く感じるようになります。また、むくみや体の重さ、胃部の不快感などの症状を伴うことが多いのが特徴です。
3.のどの渇き
水分をしっかり摂っているのにのどの渇きを感じる場合は、痰湿によって体内で水分がうまく巡っていないことがあります。また、過剰な水分が胃に停滞することで、胃腸障害を起こしやすくなります。のどの渇きを改善しようとさらに水分を摂ると、症状が悪化してしまうので気をつけましょう。
4.めまいや吐き気
東洋医学では、めまいは水分代謝が悪くなり、頭部に痰湿がたまることが主な原因と考えられています。痰湿が原因のめまいの場合、吐き気や頭重などの症状が伴うことが多いです。
痰湿体質の人におすすめの漢方薬
ここからは、痰湿体質の人におすすめの漢方薬を紹介します。漢方薬は、水分の循環をよくして老廃物や塩分を排出し、むくみなどの不調を根本から改善することを目指します。また、余分な水分だけを排出するため、体に必要な水分まで取り除いてしまうという心配はありません。
1.防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
胃腸の働きをよくし、余分な水分を減らすことで、体のバランスを整えます。水分の停滞が原因の肥満症(水太り)、むくみ、多汗症、関節痛などに用いられます。色白で疲れやすく、汗をかきやすい人におすすめです。
2.麦門冬湯(ばくもんとうとう)
胃の働きを整えて潤いをつくりだすことで、気管の粘膜を潤し、口やのどの乾燥を改善します。ただ潤わせるだけでなく、粘りの強い痰やのどの異物感を取り除く働きもあります。痰の切れにくい咳、気管支炎、気管支ぜんそくの治療にも用いられます。
3.小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
余分な水分によって冷えた体を温め、水分代謝を促しバランスを整えます。水のようなサラサラした鼻水やくしゃみ、鼻詰まりなどの症状を抑える漢方薬です。ほかにも、気管支炎、気管支ぜんそく、かぜ、鼻炎、アレルギー性鼻炎・結膜炎の治療にも用いられます。
漢方は体質との相性で正しく選ぼう
漢方薬を選ぶ際は、人それぞれの体質である「証(しょう)」に合ったものを選ぶことが大切です。
また、「証」はいつもひとつに決まっているものではなく、年齢や生活習慣、季節などによって変わります。
漢方薬が「証」に合っていない場合、効果を十分に感じられないだけでなく、思わぬ副作用が生じる可能性があります。漢方薬を購入する際は、漢方の正しい知識を持った医師や薬剤師に相談するとよいでしょう。
「定期的に病院や漢方薬局に行く時間がない」「もっと気軽に漢方薬を使ってみたい」という方におすすめなのが、スマホ一台で診断、処方、漢方薬の購入が行えるあんしん漢方というオンライン漢方サービスです。最先端のAIと漢方医学の医療チームの連携により、一人ひとりの症状と体質に合った適切な漢方薬を提案します。
また、漢方薬はお手頃価格で自宅まで届くので、手軽に始められるのも嬉しいポイントです。個別サポートも充実していて、漢方サポートドクターにオンライン相談もできるため安心してご利用いただけます。
●あんしん漢方:https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0145
痰湿体質は水分が停滞し不調を引き起こす
今回は、痰湿について解説しました。体の6〜7割を占める水分が停滞すると様々な不調が起きやすくなります。痰湿に限らず、ご自身がどんな体質かを把握し、生活習慣の改善や専門家に相談して漢方薬を服用することで、健康的な体を目指しやすくなるでしょう。
さて、次回は「イライラして落ち込む『気滞体質』に効く漢方」です。ぜひご覧ください!
<この記事を書いた人>
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