文/やまざきあつこ、鳥居りんこ

更年期は、女性ホルモンが減り続けることで自律神経のバランスが崩れていき、様々な症状に悩まされる時期。家族ですら理解しがたい痛みや不調に悩む女性たちが、今日も「鍼灸師やまざきあつこ」の元を訪れています。“自律神経失調症の女性たちの駆け込み寺”と呼ばれる当院の院長、やまざきあつこさんは自身が「たいていいつも、どっかが痛い」と悩む、自称“不調を感じやすい女”。だから、患者たちの痛みや辛さは、他人事ではありません。

28年間で7万人を診てきたやまざきさんは、最近、あることに気付きました。不調を感じやすい女には、体だけではなく、心の“クセ”も関係しているのでは? そして、まじめで気遣いができる女性ほど、がんばり時と休み時の自分に合ったリズムを見つけられず、苦しんでいるのでは? と。やまざきさんは、そのクセ直しの方法を、著書『女はいつも、どっかが痛い がんばらなくてもラクになれる自律神経整えレッスン』にまとめました。

実際に施術した患者さんとのやり取りの事例を、ここからいくつか紹介していきましょう。

あなたを悩ますその痛みが、少しでも、和らぎますように。

病気じゃないから治療もできないこの痛みは、どっからくるの?

患者さんに、よく聞かれる質問です。「不定愁訴」というのは漠然とした体の不調の訴え。「頭が重い」「ダルい」「イライラ」「不眠」「皮膚のかゆみ」「めまい」「頭痛」「便秘」「下痢」「手足のしびれ」などなど、その症状はお店開きができそうなほどに品数豊富です。これが病院に行っても「う~ん、特に悪い病気はなさそう」と診断されることが多いものでして、逆に言えば、原因が見つからないので、治療が難しいということになりがち。結果、医師から「気にしない!」「様子見で!」と言われて余計に落ち込むこともある、難儀な症状です。

最近では、自律神経失調症と診断されたり、軽度のうつ病、不安障害などといったメンタルヘルスの不調の可能性も指摘されます。また「更年期障害」という診断が下りることもあるでしょう。

更年期は人の一生のひとつの時代を指すものなので、男性にも女性にもあります。要は〝いわゆるひとつの加齢現象〟。男女ともにホルモンが減少していくことでホルモンバランスが乱れ、体に変化をもたらします。この変化が曲者でして、不快な症状を引き起こしちゃうんですよね。更年期に起こる自律神経系の不定愁訴を更年期障害と呼びます。不定愁訴<自律神経失調症<更年期障害と考えると分かりやすいかもしれません。

この更年期障害、一般的には女性に出やすく、閉経前後5年間は更年期症状を感じやすいとされています。しかし、あくまで、これは一般論。前後5年では済まずに60代を迎えても悩み続けている人もいれば、プレ更年期と言えるほどに30代から、この症状に苦しむ人もいるのです。もちろん、症状が軽く済む人もいれば、日常生活もままならないくらい重く出る人もいる。

施術歴28年の経験を持つ私には、重くなる人にはふたつの特徴があるように思えるのです。

あなた、大皿のサラダを取り分ける係?

ひとつは、単純に、働き過ぎ・根を詰め過ぎ・がんばり過ぎ。仕事でも家事でも遊びでも全力投球! 結果、色んなことで無理を重ねる人です。がんばる姿は立派ですが、哀しいかな、段々と人間、無理が利かなくなる。ある日突然、ガス欠のようにがんばれない日が来たりします。

もうひとつが、その人個人の体質や性格が遠因となるケース。ストレスを感じやすい繊細な人とその身を置く環境。この微妙なシンクロで症状が悪化する場合があります。

女性は「人のお世話をしながら生きること」を押し付けられやすいのですが、更年期症状が重くなる女性は高確率で「自分の世話より、他人(ひと)の世話」を優先しています。

例えば、あなたは気付くと「女子会の際に大皿で出てきたサラダを取り分ける係」になっていませんか? あるいは「この(大皿に盛られた)唐揚げにレモンかける?」と人の希望を叶える“いい人”の役を自ら買って出ていません? もし、その役割に「なんだかな……」を感じているとしたら、黄色信号点滅中です。ランチ会の幹事役、女子旅のツアコン、社内での雑用の数々、家族の送り迎え、家事全般、親の介護……。それらが好きで好きで仕方ないなら止めませんが、多分、あなたは抱えているものが多過ぎの上に、気を遣い過ぎです。

人は長年染みついた「自らの役割」を手放すことには不安を覚えるものなので、急にその役回りから降りろとは言いません。でもね、快復の第一歩は「あ! 私、今、抱え過ぎてる!」と自覚することです。この“気付き”が意外と大事なんですね。

イラスト/渡邉杏奈(MONONOKE Inc)

* * *

『女はいつも、どっかが痛い がんばらなくてもラクになれる自律神経整えレッスン』
 やまざきあつこ 著
(小学館)

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やまざきあつこ
鍼灸師。1963年生まれ。鍼灸師。藤沢市辻堂にある鍼灸院『鍼灸師 やまざきあつこ』院長。開業以来28年間、7万人の治療実績を持つ。1997年から2000年まで、テニスFedカップ日本代表チームトレーナー。プロテニスプレーヤー細木祐子選手、沢松奈生子選手、吉田友佳選手、杉山愛選手などのオフィシャルトレーナーとして海外遠征に同行。ほかにプロライフセーバー佐藤文机子選手、プロボディボーダー小池葵選手、S級競輪選手などプロアスリートの治療にも関わる。自律神経失調症の施術には定評がある。


 

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