取材・文/ふじのあやこ

新型コロナの流行に伴い、私たちの生活は激変した。この連載ではコロナ禍によってもたらされたさまざまな変化により、人生が変わってしまった人たちに話を伺っていく。

倫子さん(仮名・36歳)は転勤での上京で友人がいないことへの孤独を経験。SNSで女友だちができ、紹介で恋人ができるも5年の交際を経て破局してしまう。結婚願望というよりも子どもが欲しい思いが強くなる一方、恋人ができないままコロナ禍に突入した。

【~その1~はコチラ

結婚よりも子どもが欲しい。“選択的シングルマザー”を知る

恋人と破局したときには32歳だった倫子さん。コロナ禍に入る前に恋人を作ろうと頑張っていた時期に一度ネット記事で見つけたのが「精子提供」。結婚できなかったとしてもこのような取り組みがあることを知った。

「“選択的シングルマザー”という言葉を初めて知りました。そこから調べていくと法的に認められているものではないサイトを見つけたんです。何人もの男性が登録していて、そこから条件として血液型とか年齢とか精子の状態とかを選択して希望者とコンタクトをとるようなものでした。すべて個人責任で。その場では誰ともコンタクトは取っていませんが、サイトに登録しました。あくまでも保険として、こんな道もあるんだと思って」

コロナ禍に突入してからは人が集まる場所に行くことが怖くなり、仕事もリモートになったことで人との接点がほぼなくなってしまう。そんな状況も、誰とも会わない環境はみんな同じなんだと以前よりも孤独感は減ったとポジティブに考えるように。しかし、人と会わない=結婚できない、子どもが産めないという未来がよりリアルになっていったと言う。

「もう30代も半ばで、婚活アプリでも40代以上の男性からしか声がかからなくなった。それに、ここからスピード婚できたとしても妊娠率も下がってきているだろうし、そこからさらに不妊治療となったら子どもを授かれないかもしれない。

そんな不安から、以前登録だけしておいた精子提供のサイトにまたアクセスしていました」

【親にも子どもにも本当のことは一生伝えない次ページに続きます】

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