日本人の8割の人が、中年危機(ミッドライフ・クライシス)を迎えると言われています。一般的に、人は20~30代のときに仕事・私生活ともに無我夢中に取り組みがちですが、40代からはこれまでの人生に葛藤し、将来の人生設計に不安を覚えることが多くなり、「ミッドライフ・クライシス」に注意すべきといわれています。近年は、中年危機の若年化により、30代でこの症状に陥る人も。
そこで、婦人服・紳士服の製造販売ブランド、株式会社DoCLASSE(ドゥクラッセ)(https://www.doclasse.com/index.html)が、全国30~50代の女性計1,000名を対象に、第二思春期と仮にネーミングして、医師で作家の鎌田實先生作成の簡易テストを元に調査を実施しましたので、紹介します。
最も多いのは30代という結果に
第二思春期とは、人生の中盤に差し掛かり仕事もプライベートもある程度の経験を積み、今一度、自分自身を振り返る時期を迎え、今までの自分とこれからの自分の狭間で「このままでいいのか」と不安や葛藤を抱え、不安定な状態になることを指します。
調査結果によると、「第二思春期」の可能性が高い方は約6割いました。また、第二思春期の可能性が高い年代は30~34歳の方で、続いて35~39歳が多く、30代が最も多いことがわかりました。さらに、第二思春期に悩んでいるかどうかを聞いてみたところ、「悩んでいる」と答えた方は約1割程度で、「第二思春期の存在を知らなかった」という方が約6割と最も多い結果になりました。
第二思春期の可能性のある方は約6割となっているため、自覚症状がない方が多いと見受けられます。また、悩んでいると答えた方に悩みの原因を聞いてみたところ、「プライベート」と答えた方が約7割と最も多く、続いて、「仕事」が約6割という結果になりました。
【鎌田先生コメント】
一番元気で充実世代だと思われていた、30〜34歳の若いミドル世代。実は第二思春期、悩みの多い世代であることがわかります。なかなか前向きになれない自分を感じているのだと思います。なんとなく自分の将来が見えてしまったり、仕事と結婚の間で悩んだり、20代の頃とは徐々に変わっていく体形も気になりだして、不安定になりやすい時代です。この時期を、上手に乗り越えることが大事だと思わせてくれるデータです。
人生の満足点の平均は56.7点
人生の満足度について聞いてみました。その結果、最も多かったのは「50点以上60点未満」、続いて「70点以上80点未満」となりました。また平均点は56.7点、年代ごとに比較すると最も平均点が低いのは「35歳~39歳」で51.8点となりました。
また、50点未満の点数がついている方に、その点数になった理由について聞いたところ、「収入・貯金が少ないから」が約7割と最も多く、続いて「ストレスを抱えているから」が多い結果となりました。30代後半は、役職について仕事の責任が重くなったり、昇進などで性差別を感じたり、家庭・子育てとの両立に悩んだり、大きなストレスがかかる時期です。未婚の女性は、結婚についても大きな悩みを抱える世代でしょう。
現在、夢や目標があるかを聞いてみると、「夢や目標がない」と答えた方が約5割となりました。また、年代別に比較すると「夢や目標がない」と答えた方が最も多かったのは「45歳~49歳」、続いて「35歳~39歳」ということがわかりました。
また、「夢や目標がない」と答えた方に夢や目標を持てない理由を聞いたところ、「自分に自信がないから」が最も多い結果となり、続いて、「夢よりも安定を望んでいるから」という方が多いことがわかりました。 さらに、「新しい自分を見つけたい」もしくは「新しいことに挑戦したい」と思っているかどうかを聞いてみたところ、約6割の方が「思っている」と回答しました。
【鎌田先生コメント】
「夢や目標がない」と答えた方が最も多かったのは、45歳から49歳。この頃、自分の人生の頂上が見えてきます。どんなに頑張っても、こんなものか、という頂点が見えてしまうのです。それでも、この世代の中にも、「新しい自分を見つけたい」、あるいは「新しいことに挑戦したい」と思っている人たちが、6割もいることがとても大事です。
女性のターニングポイントを上手に生き抜くために
第二思春期(ミドルエイジ・クライシス)は、まさに悩み多き世代。コロナ禍がさらに拍車をかけているようです。
1:「心」にばかりこだわらず、「体」に注目して実践する
多くの人が体形の変化を気にしながらも、約半数の人があまり運動せず、体力の低下を感じ、25%の方が病気を抱えていることが気になります。この時期、体の不調が起き始めてきます。第二思春期に「中年危機」を迎えたら、「心」にばかりこだわらず、「体」に注目して実践してみましょう。ジムやヨガに挑戦したり、少しの時間をみつけて、「スクワット」や、ゆっくり上げたかかとを勢いよく床に落として、かかとに大きな刺激を与える「かかと落とし」などの運動をすることが大切です。
2:いつまでも「自分探し」をしていないで、新しい自分も、この時期に作り上げていく
50歳を越す頃、女性は、「空の巣症候群」という生きがいの喪失をしてしまう人もいます。そんな風にならないためにも、自分が気付いていない新しい自分を見つける努力をすることが大事です。自分はこうだと決めつけないこと。コロナ禍が終わった時、モデルチェンジをして、会社や街に出ていくといいですね。新しい傾向の服を着てみたり、お化粧の仕方を替えたり、内と外から同時にモデルチェンジをしていくといいと思います。
3:自己決定が大事
幸福について、面白い論文があります。経済産業研究所が、20~70歳までの2万人を調査しました。健康であることやよい人間関係も幸福度を決める要素として大事なのですが、興味深いことに所得や学歴よりも自己決定をしていることのほうが、幸福につながっているというのです。なんとなく大学にいった人よりも、自分で選んで専門学校にいった人のほうが、幸福度が高いことがわかりました。自己決定ができると、失敗しても学びになります。成功したときは、うれしくなります。同時に、本当に自分の人生が変わっていったりするのです。
4:自由な自分へ
第二思春期を女性のターニングポイントととらえ、年とともに人間的な深みを持ち、生きがいを持ち、より自由な自分になっていく。今回の調査を、面白い人生を歩んでいくためのヒントにして頂けたらと思います。
***
中年期にこのようなクライシスが起こることを知らなかった方も多いのではないでしょうか。自分にも当てはまる部分が多かったという方は、この機会に第二思春期の可能性がないかをチェックし、改善策をみつけるきっかけを探してみましょう。
【鎌田 實先生プロフィール】
1948年東京生まれ。医師・作家。東京医科歯科大学医学部卒業後、諏訪中央病院へ赴任、以来40年以上にわたって地域医療に携わる。現在、諏訪中央病院名誉院長。日本チェルノブイリ連帯基金理事長、日本・イラク・メディカルネット代表として、被災地支援にも精力的に取り組んでいる。2006年、読売国際協力賞、 2011年、日本放送協会放送文化賞を受賞。ベストセラー『がんばらない』(集英社)をはじめ著書多数。近著に『相手の身になる練習』(小学館)、『70歳、医師の僕がたどり着いた鎌田式「スクワット」と「かかと落とし」』(集英社)、「ミッドライフ・クライシス」(青春新書INTELLIGENCE 625) がある。
【調査概要】
調査時期: 2021年10月9日~10月10日
調査方法: インターネット調査
調査対象: 30~50代女性 計1,000人
調査エリア: 全国47都道府県