とにかくカッとなり声を荒立ててしまう、イライラした後に落込む、急に顔が熱くなる、汗が止まらない、どうしてこんなに頭が痛いの? など、30~40代の「プレ更年期」や、40~50代の「更年期」の女性には、自分ではどうにもならない不調が現れるもの。

実は、その不調には漢方がよく効くことをご存知でしたか?

私の不調にも漢方が効くのか知りたい! どうすれば根本解消できるの?  そんな女性たちの疑問を、漢方の専門家に解説してもらいます。

第45回のテーマは、「鬱」です。医師の木村眞樹子さんに教えてもらいました。

1.前向きだった性格が急変! 些細なことで悩んだり落ち込んだり…

梨津子さん 48歳女性 会社員の方からご質問を頂きました。

「もともと前向きで小さいことは気にしない性格だったのが、ある日を境にくよくよ悩んだり気分が落ち込んだりするようになりました。親の介護疲れがたまっているのかと思いましたが、休息しても以前のように心が晴れず鬱々とした感情がつきまといます。

家事や仕事も手につかなくなり、理由をつけて仕事を休み、一日じゅう部屋にこもるようになってしまいました。この鬱の症状はどうしたらいいでしょうか?」

ご質問ありがとうございます。

鬱の症状は周囲に気づかれにくく、ひとりで抱え込んでしまいがちなのでつらいですよね。梨津子さんのように気分が落ち込み、ずっと塞ぎ込んだ状態になってしまう更年期の女性は、実は数多くいます。今回はそんな「更年期の鬱」の原因と改善方法について、ご紹介していきます。

2.鬱症状の原因は更年期の女性ホルモンの乱れ

更年期を迎えた40代、50代の女性は、からだと心の両面に変化が訪れます。まず、40歳を過ぎたあたりから卵巣機能が低下します。卵巣で作られるエストロゲンという女性ホルモンの分泌が低下し、からだに様々な不調をもたらします。

また、50歳前後はライフイベントも数多く起き、人生が激変する時期です。結婚、出産、子育てという役割を終え、まるで自分に価値がないように感じることや、喪失感が鬱の症状を呼び起こすこともあります。また、退職した夫と過ごす時間が増え、それがストレスの一因になる場合もあります。

ただ、「抑うつ状態」と「うつ病」は違います。「抑うつ状態」は比較的症状が軽く、日常生活に大きな影響は及ぼしません。症状は徐々に軽くなることが多いのが特徴です。

対して「うつ病」は、妄想が激しくなり、自暴自棄に陥る、症状が長く続くなどの特徴があります。おかしいと思った場合は精神神経科などの医療機関に行き、診察を受けることが大事です。

3.更年期の鬱を改善する4つの方法

更年期の不調の治療法のひとつに、ホルモン補充療法があります。これは、不足しているエストロゲンを薬で補い、ホルモンバランスの乱れを和らげていく方法です。 効果もありますが、同時に副作用などのリスクもありますので、通院して治療する必要があります。

ホルモン療法は怖いという方や、通院する時間がないという方には、漢方の考え方によるアプローチがおすすめです。

3-1.適度な有酸素運動

適度な運動は鬱や不安を改善する効果があるとされています。とくに、ウォーキングやジョギングなど、日頃から簡単に行えて習慣化できる有酸素運動を続けることが大事です。

からだを動かすことによって、神経伝達物質のセロトニンの分泌を促進させることができるといわれます。セロトニンは幸せホルモンとも呼ばれ、メンタルヘルスの面でも非常に大事な役割を持ちます。

運動を日常的に行えば体力を向上できるうえに、脂肪燃焼や生活習慣病予防にもなり健康的な生活をとり戻せます。集中力も身につき、ストレス耐性もアップするなどいいことづくめです。

3-2.バランスのとれた食生活

私たちのからだを作る食事も、更年期とは無関係ではありません。女性ホルモンの減少による健康バランスの崩れは、食事によってある程度改善できます。主食、主菜、副菜のバランスが大事です。

とくに大豆イソフラボンは女性ホルモンのエストロゲンに似た構造と働きをすることで知られます。納豆、豆腐、油揚げ、味噌などに豊富に含まれるので、和食中心の健康的な食生活を心がけてみましょう。

3-3.気分転換できる趣味を見つける

鬱症状の暗い気分から抜けるには、気分転換も重要です。毎日変化のない生活を送っていると、刺激もなく憂鬱な気分になってしまいがちです。好きな映画を観る、音楽を聴く、散歩に出かけるなど、意識的に生活に変化をつけてみましょう。

リラックスできることや趣味を見つけるのもいいでしょう。日常から少し離れて気を紛らすのは、ストレスから逃れる意味でもおすすめです。

3-4.漢方薬を飲む

「元気な頃に戻りたい」
「西洋薬に頼らず鬱を改善したい」

そんな方には漢方薬がおすすめです。

一般的に、漢方薬は自然にある薬効が認められている植物などを組み合わせて作られており、西洋薬よりも副作用が少ないといわれております。また、症状の緩和、苦痛を和らげるための対症療法ではなく、体質の改善に働きかけることで根本的な解決を目指すので、同じ症状を繰り返したくないという思いに応えてくれます。

バランスのとれた食事や運動などを毎日続けるのは苦手という方も、症状や体質に合った漢方薬を毎日飲むだけなので、手間なく気軽に継続できます。

鬱に悩む女性におすすめの漢方薬をご紹介します。

<鬱に悩む女性におすすめの漢方薬>

加味逍遙散(かみしょうようさん):体力が中等度以下の方に用いられる漢方薬です。更年期症状や、精神不安やイライラなどの精神神経症状に処方されます。

加味帰脾湯(かみきひとう):体力中等度以下の方向けの漢方薬です。精神不安や神経症、不眠症にも使われます。

抑肝散(よくかんさん):体力が中程度ある方向けの漢方薬です。更年期症状や怒りっぽくすぐイライラするといった症状のほか、不眠症にも処方されます。

ただ、漢方薬はその人の体質に合っていてこそ効果が現れるものです。体質に合っていないと、効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。

とはいえ、自分に合う漢方薬を選ぶのはなかなか難しそうですよね。身近に相談場所ない場合、最近では、漢方に精通した薬剤師がA Iを利用した「あんしん漢方(オンラインA I漢方)」などのサービスも充実してきているので、こうした専門的なサービスを利用するのもいいでしょう。

効果と安全性が認められている漢方薬を生活にとり入れてみてはいかがでしょうか?

4.更年期の鬱の悩みから開放されて笑顔あふれる毎日を!

鬱の症状を抱えていると、毎日が暗く、人生そのものが楽しくないと思ってしまいがちです。悩みの原因を知り、今回紹介したような対処法を用いながら鬱症状の改善につなげていきましょう。
専門家のアドバイスを参考に、自分に合った漢方薬で対処するのもおすすめです。明るく笑顔にあふれる生活をとり戻しましょう!

<この記事を書いた人>


医師 木村 眞樹子
医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事。
妊娠、出産を経て、産業医としても活動するなかで、病気にならない身体をつくること、予防医学、未病に関心がうまれ、東洋医学の勉強を始める。
臨床の場でも東洋医学を取り入れることで、治療の幅が広がることを感じ、西洋薬のメリットを活かしつつ漢方の処方も行う。
また、医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行なっている。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0045

記事内に登場した「あんしん漢方」とは?
「お手頃価格で不調を改善したい」「副作用が心配」というお悩みをお持ちの方のために、医薬品の漢方を、スマホひとつでご自宅にお届けするサービスです。AI(人工知能)を活用し、漢方のプロが最適な漢方を選別。オンラインでいつでも「個別相談」可能。しかも「お手頃価格で」ご提供。相談は無料。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方)

 

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