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文/印南敦史

肝臓の数値を気にして飲酒量を減らしたり、運動不足解消のためにジョギングをしたりしている人は多いはず。ところが、脳については別ではないだろうか?

身体のなかで最も大切な臓器であり、毎日酷使しているにもかかわらず、脳の健康状態を意識しているという人は少ない。そもそもγ(ガンマ)-GTPや血糖値のようなわかりやすい目安があるわけではないので、自分の脳の状態はわかりにくく、なにをすればいいのかもわからないだろう。

とはいえ、『脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法』(新井平伊 著、文春新書)の著者は、できることはあると断言する。「気づいたときは認知症」とならないために、脳の健康に役立つ方法を知り、いますぐ取りかかるべきだというのだ。

著者は老年精神医学を専門とする医学者だが、本書の冒頭で「脳寿命を延ばすために、いますぐできる18の方法」を明らかにしている。

★トランプ 、囲碁、将棋、マージャンなどの対人ゲームは、脳の老化防止に効く!
★毎日の飲酒は最悪。タバコよりも酒のほうが脳にダイレクトに害をなす
★“脳に効く特効薬”のような食べ物はないと知るべし
★糖尿病は最大の敵。専門医のもとで真っ先に治す
★歯周病は認知症を促進する。放っておかずに必ず治療する
★質が高く良い睡眠は脳の健康に不可欠
★聴力低下を改善することは脳の活動にとって極めて大事
★睡眠時無呼吸症候群は必ずしかるべき処置をする
★少し汗をかく程度の有酸素運動を週に3回、30分くらいずつ行う
★運動しながら頭も働かせる。「ながら作業」には一層の効果がある
★社会的に孤立しないように、本人も周囲も気をつける
★体重は健康の最終指標。適正な体重に近づける
★コレステロールと中性脂肪をコントロールする
★血圧は高すぎても低すぎてもダメ。なるべく変動させない
★脳の老化に早めに気づくために、ちょっとした「変化」を見逃さない
★脳の老化の仕組みを、4段階に分けて理解しておく
★脳にとっては「意欲」が大事。何事もデュアル、トリプルで楽しむ
★サプリメントの効果には結論が出ていない。賢い姿勢はそれに頼らないこと
(本書18〜19ページより引用)

納得できることから、やや意外なことまで多種多様。今回はこのなかから「睡眠」に焦点を当て、「睡眠で気をつけたい7つのポイント」をご紹介したい。

1.最適な睡眠時間は6.5〜7時間

睡眠と脳の健康には、とても深い関係がある。当然ながらきちんと睡眠をとることが大切だが、「最適な睡眠時間」には個人差があるものだ。しかし疫学的なデータからみると、6時間半から7時間眠る人が最も認知症になりづらいことがわかっているそうだ。

ところが、6時間未満と8時間以上はどちらも2倍、認知症になりやすいのだとか。寝不足も寝過ぎもよくないということだ。

2.昼間の覚醒と夜間の睡眠のリズムを整える

目が動かないノンレム睡眠は深い眠りで、脳も休んでいると考えられている。だが脳の休息に欠かせないノンレム睡眠は、加齢とともに浅くなる。たとえばトイレに起きやすくなるのは、眠りが浅くなるせいだ。

そのため、昼間の覚醒と夜の睡眠のリズムを整えることが重要。昼間の過ごし方が、質の高い睡眠をもたらすからだ。現代社会においては、夜は11時ごろに寝て、6〜7時ごろに起きるのが自然だという。

3.寝具や空調などの環境を作る

眠気が訪れるのは、身体がいったん温まってから冷めるときだと言われている。したがって寝る前に入浴すれば、湯上がりから冷めてベッドに入るタイミングで眠気がやってくることになる。

室温はどのくらいが適当かという医学的なデータはないものの、冬は寒すぎず、夏は涼しすぎず、身体に風が直接当たらない間接空調のほうがいいようだ。

4.時間と気持ちの余裕を持つ

「明日も仕事だから早く寝なくては」「あと5時間しかない」などと考えてしまうと寝つけないもの。そこで著者は患者さんに、なるべく楽しいことを思い浮かべながら眠りにつきましょうとアドバイスしているという。

そうやって睡眠の質を高めることは、脳の老化防止になり、認知症の二次予防、三次予防にもなるのだ。

5.医師の処方で薬の服用も検討する

生活のリズムを整えても熟睡できなかったり、昼間の睡魔に悩まされる場合は、薬の服用を検討してみるという手もある。睡眠薬には抵抗感がある方もいるだろうが、いまは安全な睡眠導入剤がたくさん出ているそうだ。

6.寝酒はお勧めできない

寝酒は寝つきをよくするような気がするものだが、実際には寝酒をすると睡眠が浅くなり、早く目が覚めてしまう。しかも浅い睡眠は、脳の老化にも影響するという。そのため著者は、「寝酒はお勧めできません」と断言している。

7.睡眠時無呼吸症候群が様々な病気のリスクを高める

眠っている間にときどき呼吸が止まってしまう睡眠時無呼吸症候群は、脳の健康を極端に妨げる。心臓、脳、血管に大きな負担をかけて動脈硬化を促進し、脳卒中、狭心症、心筋梗塞などを引き起こす危険性が高まるのだ。

そのため、睡眠時無呼吸症候群を治すことは、認知症の二次予防、三次予防においても欠かせない。

* * *

たとえばこのように、脳寿命を伸ばして健康に生きるために覚えておきたいことが、本書ではわかりやすく解説されている。きちんと目を通し、詳細に理解しておくことは決して無駄にはならないはずだ。

『脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法』

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文/印南敦史 作家、書評家、編集者。株式会社アンビエンス代表取締役。1962年東京生まれ。音楽雑誌の編集長を経て独立。複数のウェブ媒体で書評欄を担当。著書に『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)、『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』(KADOKAWA)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)などがある。新刊は『書評の仕事』 (ワニブックスPLUS新書)。2020年6月、「日本一ネット」から「書評執筆数日本一」と認定される。

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