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文/小林弘幸

「人生100年時代」に向け、ビジネスパーソンの健康への関心が急速に高まっています。しかし、医療や健康に関する情報は玉石混淆。例えば、朝食を食べる、食べない。炭水化物を抜く、抜かない。まったく正反対の行動にもかかわらず、どちらも医者たちが正解を主張し合っています。なかなか医者に相談できない多忙な人は、どうしたらいいのでしょうか? 働き盛りのビジネスパーソンから寄せられた相談に対する「小林式処方箋」は、誰もが簡単に実行できるものばかり。自律神経の名医が、様々な不摂生に対する「医学的に正しいリカバリー法」を、自身の経験も交えながら解説します。

【小林式処方箋】そもそもの選択肢を減らしてしまう。

選択肢が多いと人は不幸になる?

会社に行く時、あるいは休日に遊びに行く時。どんな服を着ていくか、なんの靴を履いていくか、そんなことで頭を悩ませて、ストレスを感じたことはありませんか?

実はこうした悩んだり迷ったりすることも、心身に負荷をかけている状態です。それはストレスになり、結果的に自律神経を乱してしまいます。

たかが服選びで、心身のバランスを崩してしまうなんて、そんなバカなと思われるかもしれませんが、自律神経の専門家の見地からすれば、それは当然のことなのです。

ではどうするべきか。

選択肢を極端に減らしてしまえばいいのです。

実際、心理学者のバリー・シュワルツは「選択のパラドックス」という考え方を提唱しています。

シュワルツは、自由と満足をもたらすはずの豊富な選択肢が、実は私たちに「間違った選択をしてはならない」というプレッシャーを与えていると言います。

結果、選択肢が多ければ多いほど、人は不幸になってしまうというのです。

別の研究も、このことを証明しています。

「ジャムの法則」という有名な調査ですが、あるスーパーで6種類のジャムと24種類のジャムを並べて、購入反応を見たところ、24種類のジャムが並べられた時は買い物客の60%が試食しましたが、6種類では40%しか試食しなかったと言います。ところが、購入結果は異なりました。

24種類を並べた時は3%の人しか購入せず、6種類の時は30%が購入したそうです。つまり選択肢が多い場合は、人は選べなくなる=行動しなくなる、ということです。選択がストレスになっているのでしょう。

これは自律神経から見ても正しい考え方です。「間違った選択をしてはならない」というプレッシャーは、自律神経を大いに乱すからです。

「服は10着、靴は5足」が小林式

私は「ジャムの法則」を日々の生活で実践しています。

まず、服、靴、カバン……といった、外出で身につけるものをすべて見える場所に出して、眺めます。

「何をどれだけ持っているのか」を正確に把握するのです。どうでしょうか? 半年以上着ていないシャツや、1年以上着ていないスーツ、何ヵ月も履いていない靴があるのではないでしょうか?

次に「よく利用しているもの」をピックアップしてみます。どれも10以下に収まるのではないでしょうか。それがあなたに実際に「必要なもの」であり、「必要な量」なのです。

最後に、「必要なもの」以外を、思い切って捨ててしまいましょう。捨てるのがもったいないなら、メルカリやヤフオクで売ってしまいましょう。目の前から不必要なものがなくなれば、それだけ選択肢が減り、選択自体が楽になります。

新しい服が欲しいと思ったらどうするの? という疑問が浮かぶかもしれません。そういう時は、事前に「服は10着まで」と上限の数を決めておけばいいのです。

そして、1着増やすなら、1着減らす。総量が変わらないので、選択のストレスも増えません。

ちなみに私は、スーツは黒、シャツは白と決めてしまっています。こうすれば絶対に迷いませんからね。

ネクタイの色を変えれば、服の色が同じでも、日々の印象は変えられます。さらに、前日に着ていくスーツ、シャツ、ネクタイを決めてしまいます。ネクタイは天気予報をチェックしたり、その日の予定にあわせたりして色を決めます。こうしておけば、当日の朝、選択のストレスに晒されません。

靴も黒いものを5足だけです。手入れをする時間がもったいないのと、手入れのストレスを加味し、1年で5足を履きつぶし、次の年にまた新たに5足購入するようにしています。もし、「高くて良い靴を何年も大事に履き続けたい」と思うなら、それはその人の自由です。

いちばん、ストレスのない方法を生み出してください。ただし「選択肢は少なく」というのは必須です。

私の場合、こうやって自分の中のルールを決めたことで、選択のストレスがほとんどなくなりました。

このことは、仕事にも好影響を与えています。

なぜなら、仕事で最も大事なことは「頭で考えること」だからです。服を選ぶことに頭を使ってしまったら、もったいないと思いませんか?

たいていの行動は「考えなくてもできること」と「考える必要のあること」に二分されます。だったら、服選びや靴選びは「考えなくてもできること」のカテゴリーに入れてしまい、その分、仕事に頭を使ってはどうでしょう。大事なことに、時間とエネルギーを集中させるのです。

さあ、今からクローゼットと靴箱のチェックですね。

  『不摂生でも病気にならない人の習慣』

小林弘幸 著

小学館
定価 924 円(本体840 円 + 税)
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文/小林弘幸
順天堂大学医学部教授。スポーツ庁参与。1960年、埼玉県生まれ。87年、順天堂大学医学部卒業。92年、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属小児研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学医学部小児外科講師・助教授などを歴任。自律神経研究の第一人者として、トップアスリートやアーティスト、文化人のコンディショニング、パフォーマンス向上指導にも携わる。また、日本で初めて便秘外来を開設した「腸のスペシャリスト」でもある。自律神経の名医が、様々な不摂生に対する「医学的に正しいリカバリー法」を、自身の経験も交えながら解説した『不摂生でも病気にならない人の習慣』(小学館)が好評発売中。

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