六本木ヒルズにあった中華の名店「厲家菜(れいかさい)」が閉店して、約2年半。ついにこの6月14日に、銀座1丁目に再オープンの運びとなりました。
場所は銀座中央通り1丁目「POLA」ビルの9階、いまグランドオープンを前にして、夜のみですが、ソフトオープンの真っ最中です。
コース料理がいくつかあり、「厲家菜」名物の前菜がコースによって10種から20種出てきます。色彩的には地味なものが多いのですが、味わいはヴァラエティに富んでいて、丁寧な仕事に目を瞠ります。
白菜を丁寧に包み込み、辛子で香りを付けたひと皿は、1998年に北京の本店に初めて出かけたときの感動が蘇りました。セロリを細く揃えて刻み、蛯子で味を調えたひと皿も健在です。
料理では、私のお気に入り「豚肉と白菜のスープ仕立て」がメニューにありました。豚の三枚肉が舌の上で溶けて、白菜の甘みがそれを優しく包み込みます。スープが少々残りますので、御飯を頼んで一緒にいただくと堪らない美味しさです。
豚肉も白菜も、どちらも「豪華」「贅沢」からほど遠い食材ですが、ごくありふれた食材から小さな奇跡を生み出した傑作の一皿です。
デザートの「牛乳プリン」、ほど良い酸味がヨーグルトを思い起こさせる食事の締めくくりに最適な甘味です。
【厲家菜(れいかさい)】
2016年6月オープン
東京都中央区銀座1-7-7 POLAビル9F
中国本店サイト
http://www.lijiacai.com.cn/jp/Lijiacai.html
文/山本益博
料理評論家・落語評論家。1948年、東京生まれ。大学の卒論「桂文楽の世界」がそのまま出版され、評論家としての仕事をスタート。TV「花王名人劇場」(関西テレビ系列)のプロデューサーを務めた後、料理中心の評論活動に入る。