細やかな処理から生まれる 〝芳醇なる味わい〟

“何もない田舎”ほど、のんびりと贅沢な時間を過ごせるものだが、トラジャでは時がゆっくりと流れ、滞在すると一日がとても長く感じられる。ここに住む人々はみな大らかで、生活もスロー。ストレスという言葉とは無縁に見える。コーヒーの木も同様に、健やかに育つのだろうか。力強い緑の中で、たわわに実ったコーヒーが赤く輝く様は、真夏のクリスマスツリーのようで、神の恵みのようにさえ思えてくる。

この真っ赤な実が、普段私たちが目にするような琥珀色のコーヒー豆になるまでには、幾度もの丁寧な処理が施される。赤い実の中にある乳白色の豆を取りだし、水で洗浄。それを乾燥させて、人の手により一粒ずつ厳しく選別。そして“選抜試験”=カップテストによって、さらに厳しくふるいにかけられる。高いグレードの豆になるには、気が遠くなるような作業工程が必要だったのだ。

その甲斐あって、出来上がったトアルコ トラジャのコーヒーはまさに香しく芳醇。余韻に安堵感をも感じさせる甘い香りは、この地の人柄を反映しているかのよう。旨いコーヒーは、豊かな自然と素朴な人々、そして細やかな処理の賜物だ。日本でコーヒーを飲むたび、遥か南の古きよきアジアの村を思い起こすことだろう。

 

収穫

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6月から7月がトラジャコーヒーの収穫期。標高1200m近いパダマラン農場では、赤い実だけが丁寧に摘み取られる。年間の収穫量は約100t。

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開花から約8か月。完熟した実から、赤い皮と果肉を取り除き、乳白色の豆だけを取り出す。コーヒー豆の品質を決めるのは肥料、草刈り、そして天気。

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