幻といわれていたコーヒー豆が復活して30余年。
収穫期を迎えたインドネシア・トラジャの農園で、最高峰のコーヒー豆が生まれる現場に立ち会った。
インドネシアは東西5000㎞以上の範囲に1万8110の島が点在。人口約2億4000万人。今回訪れたのはバリ島の北東に位置するスラウェシ島。
トラジャでの一般的なコーヒーは、紅茶のようにポットに粉を入れ、そこにお湯を注ぐだけ。フィルターなどは使わない。薄めでお茶のように飲む。
桃源郷。この言葉を想起するほど、延々と連なる棚田の光景に息を飲んだ。顔を撫でてゆくそよ風はひやりとしていて、とても赤道直下とは思えない清々しさ。
インドネシア・スラウェシ島の奥地トラジャ。コーヒーの聖地であるこの地に辿り着くには、日本から丸2日もかかる。まさに秘境だ。沢木耕太郎の『深夜特急』も、ここに足を踏み入れてはいまい。