文・写真/山本益博
わたしが『やす秀』に初めて出かけたのが2年半ほど前。若い主人の綿貫安秀(やすみつ)さんは、この2年半でめきめきと腕を上げ、評判を高めてきた。
そんな綿貫さんの店が、9月1日(金)に、それまでの店からほど近い場所に移しての新規開店した。雑誌やテレビなどでも紹介され、新しいお客様も増えてきた。誠にタイミングの良い新規開店である。
この2年で、「酢めし」「握り」「すし種」すべてが進化したと言ってよい。「酢めし」はメリハリが利いた酢めしになり、「握り」は地紙の形で、横から見れば美しい流線形である。
すし種で言えば、例えば「あわび」。香り高く、柔らかく「塩蒸し」にされ、つまみでも握りでも、じつに美味しい。『やす秀』の夏の名物になりつつある。
「あじ」も以前より、下拵えが抜群によくなって、劣化がしてない見事な味である。「まぐろ」も赤身、ちゅうとろ、共に香り高く、これまた酢めしによく馴染んでいる。
これから、つまみに一層磨きがかかれば、銘酒を揃えていることもあり、四谷近辺では抜きんでた鮨屋になる日も近いのではないか。いま一番応援のし甲斐がある鮨屋といってよい。
【今日のお店】
『後楽寿司 やす秀(やすみつ)』
■住所:東京都新宿三栄町18-10
■営業時間: 17:00~23:00(22:30 L.O.)
■定休日:日曜・祝日
■電話:03-3351-3440
http://www.kouraku-sushi.jp
文/山本益博
料理評論家・落語評論家。1948年、東京生まれ。大学の卒論「桂文楽の世界」がそのまま出版され、評論家としての仕事をスタート。TV「花王名人劇場」(関西テレビ系列)のプロデューサーを務めた後、料理中心の評論活動に入る。