「鮮やかな壁画は中国や朝鮮の技術を日本流にアレンジしたものです」
壁画古墳|キトラ古墳
石室の東西南北を四神が護る

明日香村の南西に位置するキトラ古墳は丘陵の南側に南面して造られた。相原さんによれば、中国の風水思想で理想的な地勢とされる、南面が開けた四神相応(しじんそうおう)の地を意識したものという。
「キトラ古墳壁画体験館 四神(しじん)の館(やかた)」の石室模型の中へ入る。壁面を眺めながら相原さんが語る。
「風水思想は石室内にももちこまれました。四方を守る四神像など極彩色で描かれた壁画古墳が創り出されたのです」
石室には青龍、朱雀、白虎、玄武の四神像と、中国の星座を表す天文図、動物の頭と人間の体で十二支を表す獣頭人身像が描かれた。
「四神像や天文図は隋・唐の影響が見られ、十二支像は朝鮮半島の新羅(しらぎ)の墓に例が見られます。多くの国から影響を受けながら、独自の壁画にアレンジしたのでしょう」



キトラ古墳壁画体験館 四神の館
高市郡明日香村阿部山67
電話:0744・54・5105
開館時間:3月〜11月は9時30分〜17時、12月〜2月は9時30分〜16時30分(最終入場は
30分前)
入館料:無料
休館日:水曜(祝日の場合は翌平日 ※地階展示室は開館)、4・7・11・2月の第2月
曜(祝日の場合は翌日)、年末年始 ※臨時休館あり
交通:近鉄線壺阪山駅から徒歩約15分
壁画古墳|高松塚古墳
古代の国際交流を物語る「飛鳥美人」

「飛鳥美人」と対面
昭和47年、「世紀の大発見」としてその名を轟かせたのが、高松塚古墳の極彩色壁画だ。発見当時の色鮮やかな壁画の模写が、高松塚壁画館で展示されている。高松塚古墳壁画は四神像や星宿図(※星空を28に分割してそれぞれに星座を定めた図。天井の4方向に、各7つずつの星座が描かれた。)など、キトラ古墳に通じる特徴をもつ一方で、十二支ではなく、「飛鳥美人」として知られる女子群像などの人物像が描かれた。
「切石(きりいし)の壁面に塗られた漆喰の上に、金箔や銀箔が貼られていたり、極彩色で描かれたりしています。このような壁画古墳は中国や高句麗などで見られますが、日本では高松塚古墳とキトラ古墳のみです」
鮮やかな壁画は、東アジアの国々との交流を通じて新たな国づくりを模索した、当時の日本の活力を伝えてくれる。

版築技法による直径約23mの二段築成。


高松塚壁画館
高市郡明日香村平田439
電話:0744・54・3340
開館時間:9時〜17時(最終入場は30分前)
入館料:300円
休館日:4・7・11・2月の第2月曜(祝日の場合は翌平日)、12月29日〜1月3日
交通:近鉄線飛鳥駅から徒歩約15分
案内人 相原嘉之さん(奈良大学教授・58歳)

昭和42年、大阪府生まれ。奈良大学文学部文化財学科卒業。奈良国立文化財研究所、滋賀県文化財保護協会、明日香村教育委員会文化財課課長などを経て現職。近著に『飛鳥・藤原京と古代国家形成』。
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取材・文/藪内成基 写真/奥田高文

特別付録『2026年「サライ」オリジナル「ゴッホ・カレンダー」』











