咲き誇る花と緑の織りなす美しさを、うるわしと讃えられた大和の国。悠久の古を歩きながら、この地で産する食材をふんだんに用いた料理をじっくり味わいたい

柿の専門 三条通店|甘味はもちろん、お茶や天然入浴剤もお土産に

「郷愁の柿」378円。9個入り3402円など化粧箱入りも。独自の製法で濃厚な甘味を引き出した干し柿「蜜珠柿」324円も定番の一品。

奈良と柿のつきあいは長い。正倉院文書には天平5年(733)頃に干し柿を購入した記録が残っている。御所市や五條市など産地も県内各所にある。一方で、生産量の多さゆえ問題もあった。少しでも傷ついた柿は出荷されず捨てられるのだ。そんな柿を有効活用したのが『柿の専門』である。

1981年に「柿酢」の生産を皮切りに、干し柿や柿ジャムなど多くの商品を生み出してきた。以来、自社農園のほか、無農薬の柿の葉畑を設け、大学や病院とも連携して柿の葉の研究に取り組む。三条通店は、2012年の開業。看板商品の「柿もなか」は、白餡や小豆餡を使わず、柿を煮詰めて作った柿餡が入った最中。サクッとした皮、柚子が効いた柿餡の自然な甘みが秀逸だ。干し柿の進化形ともいえる「郷愁の柿」は、法蓮坊柿に渋皮入りの栗餡を詰めてある。栗餡のほの苦さもあって、飽きることがない。

「柿もなか」150円。香料や保存料、着色料を使わず自然な風味を生かした。皮は国産もち米100%使用。冷凍しても美味。

抗菌作用があるとされる柿の葉はお茶や天然入浴剤のほか、柿渋は飴にして販売する。清潔感あふれる現代的な店舗に足を踏み入れると、どれにするかと迷うほどの品揃え。老若男女にかかわらず喜ばれる奈良ではのお土産だ。

柿の専門 三条通店 

白で統一した店内。スタッフの岡森詩織さん(左)と植松志帆さんの制服も清潔感ある白。

奈良市上三条町27-1 村田ビル 1階
電話:0742・22・8835
営業時間:10時~19時
定休日:無休
交通:近鉄奈良駅より徒歩約6分

取材・文/中井シノブ 撮影/伊藤 信

※この記事は『サライ』本誌2024年11月号より転載しました。

『サライ』2024年11月号は特別付録「『ザ・スコッチハウス』スケジュール手帳」付き。

 

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