咲き誇る花と緑の織りなす美しさを、うるわしと讃えられた大和の国。悠久の古を歩きながら、この地で産する食材をふんだんに用いた料理をじっくり味わいたい。

リストランテ リンコントロ|ジビエへの情熱が生む滋味あふれる一皿

「猪のロースト」には、焦がしたハチミツとマルサラ酒を使ったコクのあるガストリックソース、奈良で採れたハーブやナッツを添えて。

ジビエといえば『リストランテ リンコントロ』と、奈良の食事情を識る人が口をそろえる。店主の西岡正人さん(43歳)は27歳で独立して妻の麻美さんとともに『ラ・クロチェッタ』を開業。その後2店舗目に開いたのがこの店。自ら猟師を訪ねてジビエの仕入れルートをつくり、加工や熟成も行なう。

「ジビエは獲った後の下処理が肝心。自分で山に入って撃った時期もありましたが、下処理が難しい。そんななかで出会ったのが、地元の元料理人の猟師さんでした」

鹿と猪のサラミには、コショウやクローブ、シナモンなど多種類のスパイスを加える。プロシュート(生ハム)は2年ほど熟成させた。

体中に氷を詰めて届く猪は、手際の良い処理が施されているから、臭みも雑味もない。熟成させるもの、生ハムにするもの、すぐ使うものと部位ごとに分けて保存する。この日の「猪のロースト」は、柔らかな雌のイチボ( 臀部 )。4時間ほど低温調理をした後、フライパンで皮目をカリッと焼き上げる。口に入れると肉汁と旨味があふれる。室で半年間熟成させたジャガイモのピュレとの相性もいい。

自家製のショートパスタに合わせた鹿肉のラグーソースも絶品だ。いずれの料理も、前菜3皿、パスタ2皿、肉料理、デザートという流れの昼夜のコースで味わえる。予約の際に、「肉料理は鹿にしてほしい」といった要望を伝えれば、可能な範囲で応えてくれるだろう。

「鹿ラグーのマッケローニ」。トリュフペーストやクリタケをソースに加える。いずれの料理も、8800円(昼、夜)のコースの品。
店主の西岡正人さん。ジビエのほかにも、日本産ポルチーニのヤマドリタケモドキといった天然のキノコや野草なども積極的に扱う。

リストランテ リンコントロ

築100年の町家を改装した店舗。ならまちは、西岡シェフの母の実家があった場所でもある。

奈良市薬師堂町9
電話:0742・26・8959
営業時間:11時30分~14時30分、18時~22時(要予約)
定休日:水曜
交通:近鉄奈良駅より徒歩約20分

取材・文/中井シノブ 撮影/竹中稔彦

※この記事は『サライ』本誌2024年11月号より転載しました。

『サライ』2024年11月号は特別付録「『ザ・スコッチハウス』スケジュール手帳」付き。

 

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