独居シニアも、これからシニアになる人も、人間最後はだれでもひとりです。ごはんも一人で作って食べることになり、それを面倒に感じる人も多いかもしれません。でも、一人だからこそ、好きなものを作って食べられる自由があるのです。
独居生活を謳歌し、60歳から80歳まで1日3食、21900食、1食もムダにしたくない、「おいしいものだけを食べたい」という料理研究家・瀬尾幸子さん。最新刊『60代、ひとり暮らし。瀬尾幸子さんのがんばらない食べ方』(世界文化社)から瀬尾流ひとりごはんの基本と共に、夏のおすすめメニューを3回に渡って紹介します。
第1回は「トマト」を使った2品と、調理をラクにするコツです。元気な日も、力尽きた日も、「ついで」と「ちょっと」のワザで、いつものごはんが格段においしくなるうえ、健康も叶います。
文/瀬尾幸子
ガスパチョ
この頃の夏の暑さは耐え難い感じで、やる気も食欲も失せてしまいます。そんなとき、冷蔵庫に冷たいスープがあれば生きのびられる気がします。ガスパチョは野菜の栄養と水分がとれる元気の素。
【材料】(作りやすい分量)
・トマト……2個(400g)
・セロリ……5cm
・ピーマン……1/2個
・きゅうり……1/2本
・玉ねぎ……1/6個(30g)
・にんにく……1/2かけ
・食パン(8枚切り・ミミつき)……1枚
・オリーブ油……大さじ2
・酢……大さじ1
・塩……小さじ1/2
・クミンパウダー(あれば)……小さじ1/4
・水……1カップ
【作り方】
材料をミキサーに入れて、かく拌する。容器に入れて冷蔵庫で冷たく冷やす。
※保存の目安は冷蔵庫で3日間
トマトチャンプルー
夏のトマトはおいしくて、毎日でも食べたくなります。うまみがあるから、炒め物にしましょう。トマトの角がぐずっとくずれるくらいまで炒めるのがポイント。そこに溶き卵を流し入れて、卵にトマトの汁けもからめます。
【材料】(1人分)
・トマト……1個(200g)
・卵……1個
・ベーコン……1枚
・長ねぎ……10cm
・サラダ油……大さじ1
[A]
・トマトケチャップ……小さじ1
・塩……小さじ1/4
・鶏ガラスープの素……ひとつまみ
・こしょう……少々
【作り方】
1.トマトは食べやすい大きさのくし形に切る。ベーコンは短冊切りにする。ねぎは5mm幅の斜め切りにする。卵は割りほぐす。
2.フライパンにサラダ油を中火で熱し、ベーコン、ねぎを炒める。トマトを加えて炒める。トマトの角が少しくずれてきたら、[A]を加えて混ぜ合わせる。
3.強火にし、溶き卵を流し入れて炒め合わせる。卵に火が通ったらできあがり。
ひとり分の調理をラクにするには
道具は小さく!
フライパンも鍋もフライ返しも、小さいもので足ります。小回りがきいて調理がしやすいのです。おすすめは小さいマッシャー。力が入れやすくて、ポテトサラダ作りが楽しくなります。道具を見直してみましょう。
調味料の種類は少なくていい
最近、料理は塩、しょうゆ、砂糖さえあればいいと思うようになりました。日々のごはんは、“お祭り”みたいな料理じゃなくていい。慣れた調味料で繰り返し作れる、シンプルな味のほうが疲れません。同じ味つけでも具が変わると味は変わるから、案外飽きませんよ。
電子レンジを味方につけて
電子レンジは、量が多いと加熱時間がかかりますが、ひとり分の調理にはちょうどいい。私は、あさりの酒蒸しも煮魚も電子レンジで作ります。野菜の下ごしらえにも便利ですね。耐熱性のふたを用意しておくと、ラップを使う必要もなくていいですよ。
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瀬尾幸子 (せお・ゆきこ)
料理研究家。
おいしくて簡単、飽きずに食べ続けられる楽しい料理作りがモットー。『みそ汁はおかずです』(Gakken 刊)、『ラクうまごはんのコツ』(新星出版社刊)で料理レシピ本大賞・大賞を受賞。本書では、体によくて、果てしなく自由な〈ひとりごはんライフ〉を新提案。