フランス料理の食前酒という印象が強いシャンパン。じつは和食全般に合う食中酒でもある。鮨、天ぷらからおせち料理まで、和食に合うシャンパンで新年を祝いたい。
専門店で識るシャンパンの選び方
シャンパンはどのように買えばいいか。ワインを愛好する小説家の平野啓一郎さんとともに、東京・日本橋にある『レ・カーヴ・ド・タイユヴァン 東京』へ向かう。
「文化庁派遣の文化交流使としてフランスに1年間滞在しました。ワインにも随分親しみましたが、その時にわかったのはワインの世界は奥が深くて、自分で勉強してもなかなか把握できないということ。お店の方に聞いて選ぶのがやはり正解だと思います」(平野さん)
シャンパンも好きだという平野さんに、同店のソムリエ江阪真優さん(28歳)が質問する。
「日頃、どんな味が好みかを教えていただけると、お薦めしやすいですね。合わせたい料理、誰とどんな状況で飲むかでも構いません」
そこで平野さんが挙げた、好きな生産者が「アグラパール」。ミネラル感に溢れた果実味が魅力だ。
「それなら『シャルトーニュ・タイエ』という同じく小さな農家の生産者がお薦めです。自然派のシャンパンで、繊細な味わいです」
飲みたい味の希望を伝える
今回は、年末年始に開けるシャンパンを選ぶ目的もある。
「折角なので普段は飲まないタイプにも挑戦したいです」と話す平野さん。その希望に沿い江阪さんが選んだのが、ふくよかさとコクに満ちた「プティ・エ・バジャン・シャンパーニュ・アンブロジーNV」。そして正月のおせちに合わせるなら「コレクション・タイユヴァン・シャンパーニュ・ブリュット NV」を。大手生産者の「ドゥーツ」に製造を依頼したタイユヴァンの独自銘柄だ。
「残糖度が低く辛口の食中酒です。おせちの濃い味を口中ですっと洗い流してくれます」(江阪さん)
特徴の異なる3銘柄。好みや飲む場面に合わせて選びたい。
年末年始に味わいたいシャンパン3選
平野さんお気に入りの1本
レ・カーヴ・ド・タイユヴァン 東京
東京都中央区日本橋2-4-1 日本橋髙島屋S.C.本館8階
電話:03・3548・0858
営業時間:10時30分~20時
定休日:不定
パリの名門レストラン『タイユヴァン』が手掛けるワインショップ。銘醸ワインも多く、独自に熟成して飲み頃の状態で販売する。
取材・文/鳥海美奈子 撮影/浜村多恵
※この記事は『サライ』2023年1月号より転載しました。