日本ワインはブドウ品種も多様だ。1980年代、ヨーロッパで修業した造り手たちは伝統国と同じ品種を植えて、日本でのワイン造りに励んだ。そのため、白はシャルドネ、赤はカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロが主体となった。
近年、温暖化の影響もあり、日本では栽培が難しかったピノ・ノワールやシラーの品質が向上。さらに、日本ならではの個性を打ち出すため、甲州や食用として長く栽培されてきたデラウェアの新たな可能性を見出す生産者もいる。
白ワイン
和食に最適な香りと味わい
ソラリス 山梨 甲州 シュール・リー 2018
マンズワイン(山梨県)
山梨県内の複数の畑の良質なベースワインを選び、ブレンドした甲州。甲州らしい柚子など柑橘の香り、旨みと穏やかな酸のバランスがいい。おでんや柚子を絞った魚の塩焼きと好相性。3307円。
問い合わせ:キッコーマン お客様相談センター 0120・120358
デラウェアが生む芳醇さ
ドメイヌ・タケダ デラウェア 樽熟成 2019
タケダワイナリー(山形県)
近年少なくなった有核(種あり)のデラウェアを化学肥料や除草剤を使わずに栽培。樽で発酵、熟成した。香りも芳醇で風格ある味。柑橘を添えた帆立や、力強い味なので豚肩ロースのグリルにも合う。4180円。
問い合わせ:タケダワイナリー 023・672・0040
香りよく料理と楽しめる
シャトー・メルシャン 椀子(まりこ )シャルドネ 2020
シャトー・メルシャン(長野県)
陽当たり良く、通気性に優れた理想的な畑「椀子ヴィンヤード」で栽培されたシャルドネ。パイナップルや洋梨、バニラの香りも漂う。サーモンのムニエルや地鶏のホワイトソースと相性がいい。3333円。
問い合わせ:メルシャンお客様相談室 0120・676・757
爽やかで幅広い料理に合う
北ワイン ケルナー 2020
北海道中央葡萄酒(北海道)
北海道余市のブドウ生産者・木村農園のケルナーを使用。青リンゴやハーブの香りが華やかで、清涼感ある爽やかな味わい。ソーセージやエスニック料理、白身魚のフライなど幅広い料理に合わせやすい。2640円。
問い合わせ:千歳ワイナリー 0123・27・2460
天ぷらや海鮮の炙り焼きに合う
安心院ワイン ソーヴィニヨン・ブラン 2019
安心院葡萄酒工房(大分県)
ブドウを圧搾する時に細心の注意を払い、ソーヴィニヨン・ブランの特徴である香草の風味を引き出した。フレッシュでキレのある酸、蜂蜜を思わせる余韻も。天ぷらや海鮮の炙り焼きとともに。2600円。
問い合わせ:安心院葡萄酒工房 0978・34・2210
赤ワイン
骨格のある味わい
マスカット・ベーリーA 2017
岩の原葡萄園(新潟県)
創業者・川上善兵衛が品種交配で生み出したマスカット・ベーリーA。その魅力を最大限に引き出す。口あたりは柔らかく優しいが、味わいには骨格がある。味醂と醤油を使うすき焼き、秋刀魚の塩焼きもいい。4400円。
問い合わせ:岩の原葡萄園 025・528・4002
美しい余韻のある極上品
塩尻ワイナリー 岩垂原メルロ 2016
サントリー(長野県)
標高700mに位置する長野県塩尻・岩垂原地区の畑のメルロ。冷涼な気候のため熟した果実味と凝縮感がありながら、慎つつましく美しい余韻。牛肉ステーキや豚肉の味噌漬けなどとも好相性。8800円。
問い合わせ:サントリーお客様センター 0120・139・380
肉料理に合う軽やかさ
京都丹波 ピノ・ノワール 2018 ヴィエイユ・ヴィーニュ
丹波ワイン(京都府)
樹齢30年以上の古木から収穫したピノ・ノワールを15か月樽熟成。日照の恩恵を受けた果実由来の甘さが感じられる。赤身肉や鹿肉や猪肉などのステーキに、果物など甘みのあるソースをかけるとよい。5500円。
問い合わせ:丹波ワイン 0711・82・2002
スパイスの香りと滑らかさ
グランポレール 安曇野池田シラー 2015
サッポロビール(山梨県)
長野県池田町の畑で収穫した小粒で凝縮感のある最高峰のシラーを厳選。スパイスや果実の香り、滑らかなタンニン(苦み)。七味をかけたつくねや和風だれに漬けた燻製鴨肉と。5500円。
問い合わせ:サッポロビールお客様センター 0120・207・800
和風の煮物に合う品種
ラフィーユ 樽甲斐ノワール 2018
まるき葡萄酒(山梨県)
甲斐ノワールを使用。ハーブや中華の香辛料などの香りが漂う。上質な酸と芳醇な果実味のバランスがよく、優美な味。豚の角煮、醤油の煮込みと合う。2805円。
問い合わせ:まるき葡萄酒 0553・44・1005
※ワインの値段はすべて参考価格。
※この記事は『サライ』本誌2021年11月号より転載しました。
取材・文/鳥海美奈子 撮影/多賀谷敏雄