オランダを代表する画家の一人、フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-90)。現代でこそ世界的に高い人気を誇りますが、世間に評価されるようになったのは死後のことでした。
オランダの実業家、アントン・クレラー=ミュラーの妻、ヘレーネは、ファン・ゴッホが評価の途上にあった1908年からの約20年間、夫アントンの支えのもと、ファン・ゴッホの油彩画約90点と180点を超える素描・版画を収集しました。

油彩/カンヴァスに貼った紙 36.5×53.6cm クレラー=ミュラー美術館蔵
(C)Collection Kröller-Müller Museum,Otterlo,the Netherlands.Photography by Rik Klein Gotink

ヘレーネは、ファン・ゴッホの作品がもたらす感動を多くの人々と分かち合うためにコレクションを公開。それがファン・ゴッホのゆるぎない評価につながっていきました。
神戸市立博物館で開催の「阪神・淡路大震災30年 大ゴッホ展 夜のカフェテラス」は、クレラー=ミュラー夫妻が設立したオランダのクレラー=ミュラー美術館所蔵の作品を中心に紹介する展覧会です。(9月20日~2026年2月1日)

油彩/カンヴァス 80.7×65.3cm クレラー=ミュラー美術館蔵
(C)Collection Kröller-Müller Museum,Otterlo,the Netherlands.Photography by Rik Klein Gotink

本展の見どころを、広報事務局にうかがいました。
「今年は阪神・淡路大震災から30年、復興を果たしたこの地で、苦難が続く人生を絵を描くことで闘ったファン・ゴッホに重ね合わせて、大規模展覧会を開催することは意義深いことと思います。
本展は、クレラー=ミュラー美術館の至宝《夜のカフェテラス》をはじめとして、オランダ時代からアルルに至る画業の前半を所蔵作品で紹介し、誰もが知るファン・ゴッホになるまでを辿ります。そして、アルルから晩年までの画業の後半を辿る展覧会を2027年に予定しています。

45.5×56cm クレラー=ミュラー美術館蔵
(C)Collection Kröller-Müller Museum,Otterlo,the Netherlands.Photography by Rik Klein Gotink

また本展では、クレラー=ミュラー美術館が所蔵する印象派のモネ、ルノワールらの油彩画も展示します。
作品鑑賞のポイントなどを伝える音声ガイドナビゲーターを、俳優の綾瀬はるかさんが務めるのも話題のひとつ。彼女の案内でファン・ゴッホの世界をお楽しみください」
第1期にあたる本展と、2027年の第2期を合わせると約100点の作品が観られ、ファン・ゴッホの人生とともに歩む感動の展覧会です。ぜひ会場に足をお運びください。

32.4×24cm クレラー=ミュラー美術館蔵
(C)Collection Kröller-Müller Museum,Otterlo,the Netherlands.Photography by Rik Klein Gotink

【開催要項】
阪神・淡路大震災30年 大ゴッホ展 夜のカフェテラス
会期:9月20日(土)~2026年2月1日(日)
会場:神戸市立博物館
住所:兵庫県神戸市中央区京町24
電話:078・391・0035
神戸展公式サイト:https://www.ktv.jp/event/vangogh
開館時間:9時30分~17時30分、金・土曜日は~20時(入館は各閉館30分前まで)
休館日:月曜日、12月30日(火)~1月1日(木・祝)(ただし、月曜日が祝日または休日の場合は開館し、翌平日に開館)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照
巡回:福島県立美術館(2026年2月21日~5月10日)
上野の森美術館(2026年5月29日~8月12日)
第2期展:神戸市立博物館(2027年2月6日~5月30日)
福島県立美術館(2027年6月19日~9月26日)
上野の森美術館(2027年10月~2028年1月)
取材・文/池田充枝
