『文楽』『ヒロシマ』『筑豊のこどもたち』『風貌』『古寺巡礼』など、不朽の名作を数多く残した写真家、土門 拳(どもん・けん)。

1909年、山形県酒田市生まれ。1935年、日本のグラフ・ジャーナリズムを切り拓いた「日本工房」に入って以来、脳血栓で倒れる1979年までの足かけ45年にわたり、「報道写真家」として激動の日本を記録し続けました。

代表作『古寺巡礼』刊行60年に合わせた展覧会が『土門拳の古寺巡礼』です。(3月18日~5月14日まで)        

室生寺弥勒堂 釈迦如来坐像左半面相
昭和41年(1966)頃
写真提供/土門拳記念館

本展の見どころを、広報事務局にうかがいました。

「ドキュメント、人物、古美術、建築、風景、そのいずれにも忘れがたい作品を残し、日本の写真史に巨歩を記した土門拳。

浄瑠璃寺本堂 吉祥天立像面相
昭和40年(1965)
写真提供/土門拳記念館

ライフワーク『古寺巡礼』の第一集が刊行されたのは1963年、今年で60年を迎えます。戦前から仏像行脚を続けた土門は、みずからの眼で選んだ古寺や仏像を徹底して凝視し撮影。建築の細部や仏像の手や足、口などをクローズアップで捉える独自のスタイルを貫きました。

唐招提寺金堂 千手観音立像左脇千手詳細
昭和38年(1963)
写真提供/土門拳記念館

『古寺巡礼』の刊行途上、脳出血で倒れ、以後は車椅子生活になってからも不屈の精神で撮影を続行し、1975年、第五集で完結となりました。

飛鳥寺金堂 釈迦如来坐像面相詳細
昭和39年(1964)
写真提供/土門拳記念館

本展はカラーの代表作と、土門を魅了した室生寺の釈迦如来坐像をはじめ、重量感のある平安初期の木彫仏を中心にモノクロームの仏像写真と、合わせて約120点を展観します。土門が対象の本質に迫った、力強く個性的な“日本の美”をご覧ください」

室生寺金堂 十二神将立像(左から巳神、未神、申神、辰神)
昭和18年(1943)頃
写真提供/土門拳記念館

迫力! 圧巻! 日本人の心を打つ写真の数々。会場でこころゆくまでご覧ください。

【開催要項】
土門拳の古寺巡礼
会期:2023年3月18日(土)~5月14日(日)
会場:東京都写真美術館 地下1階展示室
住所:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
電話:03・3280・0099
美術館HP:https://topmuseum.jp
開館時間:10時から18時まで、木・金曜日は20時まで(いずれも入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(ただし5月1日は開館)
料金:HP参照
アクセス:HP参照

取材・文/池田充枝

 

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