1930年代以降の日本は、太平洋戦争へと傾斜を深める一方で、写真などのグラフィカルな視覚文化が到来し、建築や生活文化が変貌するなど、モダンとクラシック、都会と地方の両極で揺れ動いた時期でもあります。

この頃、先端的な意識をもった人々が相次いで東北地方を訪れ、この地の建築や生活用品に注目しました。そして、当時、後進的な周縁とみなされてきた東北地方が、じつは豊かな文化の揺籃であることに気づきます。

芹沢銈介《日本民藝地図(現在之日本民藝)》部分
1941年
日本民藝館蔵

1930年~45年頃の東北に焦点をあてた展覧会が開かれています。(9月25日まで)

本展の見どころを、東京ステーションギャラリーの学芸員、柚花文さんにうかがいました。

「1930年から1945年にかけて東北を訪れた人々が、この地で何を見て、どう展開させたのか、その複層的な「眼」を通して東北の生活文化を探る展覧会です。

《こけし(木地山系)》
1925-41年頃、原郷のこけし群
西田記念館蔵

ドイツの建築家ブルーノ・タウトは、1933年から約3年半の滞日中にたびたび東北を訪れ、版画家・勝平得之が案内した秋田の冬の風物に特に感銘を受けました。本展の導入部では、勝平との交流がわかる資料や、タウトが仙台でデザイン指導した工芸品などを紹介します。

ブルーノ・タウト(原型指導)《椅子(規範原型 タイプC)》
1933年原型指導
仙台市博物館蔵

また、フランスのデザイナー、シャルロット・ペリアンは寝椅子「シェーズ・ロング」をル・コルビュジエらとデザインしたことでも知られますが、1940年の来日時に山形の自然素材に着目し、この寝椅子用に製作依頼した敷物も展示されます。
このほか、「民藝」の提唱者・柳宗悦が東北で収集した民具や手工芸、故郷青森で弟と「考現学」を実践した今和次郎のユーモラスなドローイング、個性豊かな東北各地のこけし約100体など、バラエティに富む作品をお楽しみください」

東日本大震災以降、関心が深まる東北地方の伝統を伝える展覧会。ぜひ会場に足をお運びください。

今純三《今和次郎宛考現学調査ハガキ 自宅アトリエノ窓外風景》
1931年
工学院大学図書館蔵
《刺子足袋(宮城県)》
1940年頃
日本民藝館蔵

【開催要項】
東北へのまなざし1930-1945
会期:2022年7月23日(土)~9月25日(日) 会期中一部展示替えあり
   前期7月23日(土)~8月21日(日) 後期8月23日(火)~9月25日(日)
会場:東京ステーションギャラリー
住所:東京都千代田区丸の内1-9-1 JR東京駅丸の内北口改札前
電話:03・3212・2485
開館時間:10時から18時まで、金曜日は20時まで(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(ただし8月15日、9月19日は開館)
公式サイト:https://www.ejrcf.or.jp/gallery
料金:公式サイト参照

取材・文/池田充枝

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