48年のキャリアで約2700曲の作詞を手がけた森雪之丞さん。70歳になった2024年に自選詩集『感情の配線』を出版する。森さんといえば、アイドル曲、アニメソング、布袋寅泰さんや氷室京介さんへの作詞で知られている。ほかにも、前回では、朗読劇の主宰、ファッションモデル、ミュージカルの訳詞や詩の朗読など、多彩な表現活動を続けていることを紹介した。3回目の今回では、70歳を迎えた今思うこと、感じていることを伺った。

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1954年1月14日、東京都生まれ。作詞家、詩人、劇作家。73年、大学在学中から音楽活動を始める。伝説的プログレッシブ・ロックバンド『四人囃子』のゲスト・シンガーとして参画。76年に作詞・作曲家としてデビューし、アイドルポップス、アニメソングなど多くのヒット曲を手がける。90年代以降は布袋寅泰、氷室京介ほか、ロック・アーティストに詞を提供。48年のキャリアで手がけた楽曲は2700曲を超える。作詞と並行し、ポエトリー・リーディング・ライヴ『眠れぬ森の雪之丞』の主催や、ロックオペラ『サイケデリック・ペイン』では脚本を手がける。24年1月、初の自選詩集「感情の配線」を刊行。

60代が人生で一番元気で楽しかった

――2010年代は、オリジナルミュージカル作品を数多く手がけている。

ミュージカル作品をつくるのも、僕のひとつの目標だったんです。1973年にミュージカル『ロッキー・ホラー・ショー』(ロンドン・オリジナル・カンパニー)に衝撃を受け、「いつか自分でもつくりたい」という思いが強かったんです。

その後、2012 年に『ロック☆オペラ サイケデリック・ペイン』で、僕が作・作詞・音楽プロデュースをすべて行い、布袋君に音楽を頼んで、劇団☆新感線のいのうえひでのりさんの演出で、雪之丞一座として上演しました。

2022年までの10年間に『SONG WRITERS』『怪人と探偵』『ロカビリー★ジャック』『パンデモニアム・ロック・ショー』という5作のオリジナル・ミュージカルを上演。ひとつのミュージカルを作るのに4年かかるので、複数作品を並行で準備していました。

これは自分にとって、ものすごくいい経験でした。俳優、舞台美術、音楽、照明と一丸となって、作品を作るのはとても楽しいですし、この経験を通じて、自分の中に多くのものが生まれました。

それに、制作期間中、僕は60代でしたから、とても元気だったんです。60代が人生で一番元気でしたし、最高に楽しかった。気力も体力もあり、病気さえしなければ、大きなことも達成できます。60代は可能性だらけなんですよ。心身共に余裕もありますしね。

――森さんは、「僕が幸せなのは、好きなことを仕事にしているからだ」と続けた。

とはいえ、これまで、いろんなことがありました。自選詩集『感情の配線』は、30年間の僕の足跡でもある。だから、かつての僕が書いた詩を読み、このとき苦しかったな、と思うこともありましたが、やはり、所詮、好きなことを仕事にしていますから、前に進むしかない。

――森さんの仕事は、質も量も圧倒的だ。ほかの人に嫉妬することはあるのだろうか。

もちろんありますよ。でも嫉妬には「白い嫉妬」と「黒い嫉妬」がある。白い嫉妬は「もっと頑張ろう、いい作品を作ろう」というパワーになると思う。一方で、黒い嫉妬はどんどん闇に入ってしまうんじゃないかな。

この2つの嫉妬を使いこなす。いまでも嫉妬はしますよ……今、ふと思ったんだけれど、嫉妬を使えない人は、クリエイターにはなれないんじゃないかな。

【70代は未開のジャングルを進むような気持ち……次のページに続きます

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