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働き方改革関連法 施行から半年が経ちましたが、6割の管理職が「残業時間変わらない」という“ボスジレンマ”に直面しています。株式会社リクルートスタッフィングが、企業で働く中間管理職412人を対象に、「働き方改革における管理職への影響と変化」に関する調査を実施したので、早速見ていきましょう。

■ 4月以降も「6割の中間管理職」が残業時間が変わらないと回答

2019年4月の働き方改革関連法の施行以降、6割以上の中間管理職の残業時間が「変わらない」、1割以上が「増加した」という結果になりました。所属部署・課全体の残業時間を聞いたところ「減った」が3割を超えており、部署全体と中間管理職自身の残業時間に乖離があることも分かります。

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■中間管理職の残業が増えた理由は「部下のサポート業務」が6割

残業が「とても増えた」「やや増えた」と回答した人にその内容を聞いたところ、「所属部署・課における管理業務」 (71.7%)、次いで「部下のサポート業務」(58.5%)となりました。

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回答者全体に、部下の残業時間削減のために自身 の仕事量に影響が出たかを聞いたところ、「仕事量の増加を感じる」との回答が3割を超えました。メンバーの業務負荷を一部、管理職が負担していることが推察されます。
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■中間管理職の残業削減に足りないスキル、キーワードは「統率力」と「ジョブアサイン力」

自分自身の残業時間削減にあたり、スキル不足を感じている中間管理職に、足りないスキルを尋ねたところ、「リーダーシップ・意思決定」(41.3%)や「プロジェクトマネジメント」(32.1%)などの統率力に関するスキルが挙がったほか、「仕事を振り分けるスキル(ジョブアサイン)」(33.0%)といった、チーム全体の人材配置に関するスキルが併せて重要視されていることが分かりました。

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実際に部署・課全体の残業時間をより削減するために実施したいこととしては「無駄な業務の削減」(64.3%)が最多、 次いで「部下のスキルアップ」(45.6%)となりました。 前設問で統率力やジョブアサインに関するスキルが重要視された一方で、目下の施策としては業務削減に注力している様子がうかがえます。

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■4割の中間管理職は「経験有の時短人材を活用したい」

働き方改革では、一人当たりの残業時間を削減することはもちろん、多様な働き方の実現が目指されています。本調査では、多様な働き方の一つである“時短人材”の活用についても、意識調査を実施しました。人材の残業時間削減に向け実施したい施策として「人的リソースの補充」と回答した人に、活用したい人材を聞いたところ、経験有のフルタイム人材(80.0%)に次いで「経験有の時短人材」(41.8%)が挙がりました。多くの中間管理職が、雇用形態を問わず、経験ある人材に価値を見出していることが分かりました。

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一方、中間管理職の多くが時短人材に任せられないと思う業務としては、「管理職としてのポジション(43.4%)」、「チームリーダーとしての役割」(37.4%)といったマネジメント関連に次いで、「柔軟な対応や素早いレスポンスが求められる業務」(33.5%)となりました。時短という特性がマネジメントや即時性のある対応へ影響が出るのではないかという懸念があることが分かります。

回答者のうち、時短人材を活用している人に、任せている業務を聞いたところ「他スタッフのサポート業務」(46.9%)が最多でした。 しかし、同回答者に、時短人材に今後任せたい業務を聞いたところ、「スキルや知識を要する専門業務」(58.5%)が最多、 次いで「担当者レベルの責任ある業務」(46.3%)との回答に。理想と実態にギャップはみられるものの、今後、時短人材へのスキルや知識といった経験へ期待していきたいという意欲が伺えました。

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■“働き方改革関連法”施行から半年。健康社会学者である河合薫氏がみる“働き方改革”

「残業削減!」という会社が立てた錦の御旗を守るために、“身代わり残業”にあえぐ中間管理職が増えています。部下に残業をさせるな!と上からせっつかれるも、業務の効率化にも限界がある。働き方改革を進めれば進めるほど管理職の労働時間は増すばかりです。そもそも残業削減が働き方改革の代名詞になっていますが、「残業削減」だけに手をつけたところで問題は解決しません。そこで働くすべての社員が「生き生きと働ける職場」をゴールにすることが肝心です。そのためには会社の要である管理職の健康にもっとクローズアップすることが必要不可欠。並行して、中間管理職は一人きりでがんばるのではなく、周りの傘を借りて パフォーマンスを向上させなくてはなりません。それは雇用形態や性差、年齢で区別するのではなく、すべてのメンバーが互いを尊重し、「1+1=3、4、5・・」のチーム力の高いチーム作りに直結します。 個人のパフォーマンスは個人の能力だけではなく、「同僚との関係性」に支えられていることを、自立、自己責任ばかりがクローズアップされる現代社会だからこそ、もっと知ってほしいと心から願います。

【河合 薫】健康社会学者(Ph. D. )、気象予報士 東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。「人の働き方は環境がつくる」をテーマに学術研究に関わるとともに、講演や執筆活動を行っている。最新著書『他人の足を引っぱる男たち』(日本経済新聞出版社)

***

いかがでしたでしょうか? 管理職の多くは“ボスジレンマ”を抱え、本質的な解決策が求められているものの、目先の改善にとどまっているような状況がうかがえます。働き方改革の本来の目的は「働く方々がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する」ということ。組織の成長とともに勤務時間のバランスの適正化を図っていく必要がありそうですね。

調査結果 <調査概要>
期間:2019年7月12日~7月13日
方法:インターネット調査
対象:従業員数300人以上の企業に勤める25〜65歳の管理職(412人)

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