マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」が、ビジネスの最前線の用語や問題を解説するシリーズ。

成長を目指すためには、自分や組織が「できていないこと」を素直に受け入れ、それを認識することが第一歩となります。この過程は容易ではありませんが、正しい行動変化を生み、成長を促進するために不可欠です。ここでは、成長のための「不足の認識」の重要性を識学の観点から掘り下げ、いかにして自分や組織の不足を受け入れるか、またその先にある行動変化について論じます。

「できていないこと」を認める重要性

「不足を認識する」こと、すなわちできていないことや足りていないものを把握することは、成長への基本的な要素です。私を含め人は往々にして、理想と現実のギャップに気づきにくいものです。できていないことを指摘されると防衛的になったり、認めたくない心理が働いたりすることもあります。

しかし、成長するためには自己や組織に対する客観的な評価が必要不可欠です。現実として結果に表れているものや、明確に不足しているものを客観的に把握し、それを受け入れることが、組織と個人の成長を加速させるために必要です。

不足を認識するためのポイント

不足を認識するために押さえておきたいポイントは以下です。

 1.結果に基づく評価

識学では、行動やプロセスではなく「結果」に焦点を当てて評価することを推奨しています。感覚的なものではなく、まずは事実に基づいて不足を認識する必要があります。

「うまくいかなかった」「思った通りにならなかった」等で終わらせず、「目標100に対して、結果30だった、不足は70あった」という要領で結果(事実)に基づき不足を認識しましょう。

2.事実として受け入れるスタンス

不足が出た事に対して、事実として受け入れるスタンスが必要です。不足に対して、ネガティブに反応したり、感情的な対処をすると事実の隠蔽や歪曲にもつながりかねません。不足をただ事実として受け入れ、行動変化を考えるスタンスを管理者・実施者共に持ちましょう。

3.不足は決して「悪」ではない

上記とも重なりますが、不足は決して「悪」ではないという事です。むしろ行動変化(改善)のチャンスです。不足の事実を受け止め、出来なかった理由を考えて、改善のサイクルを回す、基本的にこれだけです。不足が出ること自体を悪と捉えることは、成長機会を失ってしまうことに繋がりかねない認識を持ちましょう。

行動変化を考えるためのポイント

不足が明確になり、未達の理由を分析したあとはいよいよ行動変化(改善)です。
行動変化を考える上で以下ポイントをご参考ください。

1.出来なかった理由(未達の理由)と紐づいているか

不足-未達理由-行動変化が一連の流れになっているかチェックしましょう。

行動変化が未達理由と紐づいておらず、結果に繋がらないケースが往々にしてあります。管理者はその未達の理由が妥当か、行動変化が未達の理由を解消する内容になっているか確認して、ふさわしくない場合はフィードバックすることが必要です。

2.評価可能な内容になっているか

行動変化が「徹底する」「改善する」「一生懸命やる」等になっている行動変化では改善は望めません。行動変化は期限を迎えたときに〇×が明確につく内容でなければ意味がありません。そうでなければ、「徹底しました」「改善しました」等、いかようにも言えてしまい、そこに成長はありません。

〇×を明確にするためには、「期限」と「状態」を明確化することです。

一生懸命走る(評価不能)→60分以内に10Kmを走る(評価可能)という要領です。

このケースだと60分以内という「期限」で、10Km走っている「状態」という定義になり、61分だと×になるし、59分だと〇になります。

行動変化の期限と状態が明確化され、振り返った時に評価できる状態になっているか、実施者・管理者共にチェックしてみてください。

3.実現可能な内容になっているか

不足が大きくなればなるほど壮大な行動変化を出してくる方がおられます。

管理者は冷静に「本当に出来るか?」を見極める必要があります。その行動変化や目標の根拠を確認し、難しいと判断した場合は現実可能なレベルまで難易度を調整する必要が出てきます。とはいえ、必ず出来る内容ばかりを任せていても成長はないので、「少し背伸びすれば出来るレベル」を目安にしていただき、部下を成長に導いていきましょう。

「不足」を認識し「行動変化」を当たり前に行える組織へ

当たり前に不足を認識し、行動変化を出来る組織を作るためには「仕組み」とその仕組みの「運用」が必要になります。

必要な仕組み1:四半期スパンの役割定義と評価の仕組み

不足を認識する為には前提として役割定義(一般的な言葉で言うと数値目標の設定)が必要になります。目標が設定されてない状態では不足を認識する事が出来ず、行動変化(改善)のしようがありません。会社の目標(中期経営計画)→部の目標→課の目標→個人の目標と言う要領で全社目標から各個人の目標に分解し、出来れば四半期スパン(短すぎるようであれば半年スパン)で役割定義を設定しましょう。

そして、その役割定義の達成度合いを四半期スパンで「評価」し達成率を明確化します。

その達成度合いを「査定・報酬」と連動させる評価制度があれば、より目標達成の可能性が高まる組織になっていきます。

必要な仕組み2:週1スパンの成長管理の仕組み

上記1を構築されている組織でもありがちなのが、四半期や半年スパンの役割定義(目標)を設定して、そのあと放置にしてしまうことです。感覚値ですが、1~2割のハイパフォーマーは目標設定するだけで自力で達成できますが、残りの8~9割はそうはいきません。

その目標に対する1週間スパンの管理が必要です。目標に対する不足-未達理由-行動変化-来週の約束、これらを「週報」という仕組みで部下から管理者に報告がなされ、1週間スパンで常に改善が繰り返される状態を推奨しています。

まとめ

いかがでしたでしょうか? 不足と聞くとネガティブなイメージをお持ちになる方も多かったと思いますが、不足は成長のための必須要素でありツールです。そして、その不足を明確にするためには、目標の設定と管理の仕組みが必要になります。ご覧いただき自社の組織に「不足」をお感じなられたようであればぜひ明日からの「行動変化」に繋げていただけたら幸いです。

識学総研:https://souken.shikigaku.jp
株式会社識学:https://corp.shikigaku.jp/

 

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