2000人を超える中高年のキャリア開発に携わってきた、ミドルシニア活性化コンサルタントの難波 猛氏の著書『「働かないおじさん問題」のトリセツ』(アスコム)より、これからの時代に中高年がいきいきと働くためのポイントをご紹介します。

文 /難波 猛

前回ご紹介した行動変容を促すネガティブフィードバックは、上司と「働かないおじさん」が一対一で腹を割って面談するワンオンワン・ミーティングによって実施されます。そこで上司から伝えられる言葉は、本人にとって「予期せぬ変化」や「望まない変化」となるでしょう。

一般的に、「能力の低い人ほど、自分の能力や状態を客観的に認知・修正する能力も低いため、自分を過大評価してギャップが大きくなる」という「ダニング=クルーガー効果」も働きます。そのため、上司のフィードバックに対して、「成果が出ていない人ほど反発しやすい」「変化に抵抗感を示し易い」という状況になりがちです。

ただし、こうした反発は、あくまで「人として自然な反応」です。相手の状態や心理への理解に努めながら話し合いを尽くすことで、やがて「働かないおじさん」たちも、姿勢を変化させることが多くあります。

具体的には「否定」「抵抗」「探求」「決意」という4つのフェーズを経て、最終的には変化を受け入れ、行動が変わっていくとされています。各フェーズにおける本人の状態と、上司や周囲のサポート方法を紹介していきましょう。

各フェー ズの傾向と対策

人の行動変容や組織の構造改革に関するコンサルティングに10年以上従事していますが、「人間は、本質的に変化をしたがらない」「その分、経営者は、常に当社には変化が必要だと言い続ける」「言っている(言われている)だけで変化しない」という場面に何度も遭遇しています。これはなぜなのでしょうか?

人間が、慣れ親しんだ状況を変えるには、大きなエネルギーが必要です。

一つは「生存リスクへの精神的負荷」。状況を変えた結果、良い方向に向かうとも限りません。当然ですが、変化にはリスクを伴います。変化のリスクは、昔なら餓死・戦死、今なら降給・失業・低評価・自尊心の毀損などかもしれません。

もう一つは「学習や適応への労力」。状況を変えるということは、新しい能力の習得や環境適応が必要になります。特に、現在の能力や環境へ適応するために長い時間と労力をかけてきたミドルシニア社員ほど、それを捨てる選択には覚悟が必要です(最近では、学び直しの「リカレント教育」だけでなく、学んだことを敢えて捨てる「アンラーニング」が 注目されています)。

上記のようなエネルギーが必要なため、基本的には「現状維持でそのまま行ける選択肢があるなら、わざわざ状況を変化させる必要はない」と考える人のほうが多く、 生物的には自然な行動です。

次回は、「否定」「抵抗」「探求」「決意」という変化の4フェーズを詳しくご紹介します。


難波 猛(なんば・たけし)
人事コンサルタント。マンバワーグループ株式会社シニアコンサルタント。1974年生まれ。早稲田大学卒業、出版社、求人広告代理店を経て、2007年より現職。人事コンサルタント、研修講師として日系・外資系企業を問わず2000人以上のキャリア開発を支援。人員施作プロジェクトにおけるコンサルティング・管理者トレーニング・キャリア研修などを100社以上担当。官公庁事業におけるプロジェクト責任者も歴任。

             『「働かないおじさん問題」のトリセツ』難波 猛 著

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