『万葉集』の東歌にも、その名が残る伊香保。この地に石段や温泉街が造られたのは、戦国時代末期の天正4年(1576)のことという。現在の石段は365段、懐かしい温泉街の風情が残る。
温泉街の喧噪から少し離れた一角に『諧暢楼』はある。諧暢楼から本館『福一』の館内を通ると、石段の中腹に出ることができる。諧暢楼は、創業400年になる本館の福一が、明治初期に名のっていた名称。「安らぎのなかで伸びやかに過ごしていただきたい」という思いが込められている。
客室は全8室。専用の庭園やテラスなどが備わり、邸宅のような造りとなっている。すべての客室に露天や半露天風呂があり、伊香保の「白銀の湯」が引かれている。
本日の宿泊は「ジャパニーズ・スイート」。障子が多用され、白い和紙に包まれる感覚になる。ウエルカムドリンクは、上質な和三盆を添えたシャンパン。バルコニーに運び、川のせせらぎや鳥のさえずりを聞きながら味わう。
寝室は格天井に琉球畳。枕は好みの高さや固さを選ぶ。掛け布団は、アイスランドやグリーンランドのみに棲息し、“羽毛の宝石”とも呼ばれるアイダーダックの羽毛布団。軽くて弾力があり、深く心地よい睡眠が得られる。
半露天風呂の大きなガラス窓に、美しい緑が絵のように広がる。源泉掛け流しの「白銀の湯」は、疲労や病後の回復に効能がある。
「ジャパニーズ・スイート」は広さ100㎡。2名1室で1泊2食付きひとり10万8000円。木の香りが心地よい。天然木の椅子の座り心地も抜群である。