京都に本店のあるイタリア料理店、『イル ギオットーネ』では、同じ京都・伏見の酒造会社、松本酒造と一緒に造った日本酒を置いている。
5年ほど前、料理長の笹島保弘さんが、「レストランで出せる日本酒を造りたい」という相談を受けたのがきっかけだ。
「油脂を多く使う洋食のときに飲むものには、どうしても酸がほしいのです。でも、日本酒には酸が少ない。アルコール度数が高く、二日酔いするイメージもある。そこで酸を強めに、アルコールを控えめに造ることができないかと松本さんに提案しました。ボトルもスタイリッシュにして、レストランに置いて違和感のないもの、そして猪口ではなくワイングラスで提供できる酒にしたいと」
できあがったのが、この「リッシモ」だ。イタリア語の「リゾ」=米、「マッシモ」=最強というふたつの言葉を合わせた造語である。リンゴ酸を足し、アルコールも15度に抑えている。穏やかながらも酸があって、米由来の柔らかな甘みもある。
「ワインでいえば、熟成感のある白の位置付けでしょうか。温度が上がれば、鶏肉、チーズとの相性も抜群です。より強い味のメイン料理には、一度ボトルを下げ、厨房で温めてから再度提供することもあります」
パスタに日本酒。オリーブオイルを使い、チーズがかけられた一皿に、「リッシモ」が寄り添う。パスタ好きの日本人に、もしや最高の組み合わせかもしれない。