「型友禅」とは、型紙で着物に彩色する友禅染めの技法。着物メーカーとして昭和58年に創業した「浅草文庫」は、着物文化が衰退するなか、型友禅の技術を活かした新製品を模索していた。
「そこで注目したのが、白くなめした牛革に装飾を施す『文庫革』です。絹と同じ白色で、型友禅の鮮やかさを表現するのにぴったりだったのです」と、取締役常務の齊藤直樹氏は振り返る。
そうして同社が初めて作ったのが、この「花菱」という絵柄の長財布である。縁起のよい四季折々の草花を菱形の中にちりばめた華やかな絵柄で、発売当初から変わらず一番人気を誇る。
「着物柄の江戸小紋をもとに、欧風イメージのテッセンとユリをアレンジしており、洋装にもなじみます」(齊藤氏)
型友禅では、約20種類もの色を重ねる。通常の革小物では彩色の前に型押しをするが、色をきれいに出すため、先に型友禅を施し、その後に手描きと型押しを行なうのが浅草文庫流だ。
縫製は高級ブランドバッグを手がける職人が担い、ファスナーの開閉もスムーズ。仕上げに黄ばみや汚れ防止加工を施しているため、いつまでも美しい色彩を保ちながら長く愛用できる。
【今日の逸品】
浅草文庫(R) 長財布「花菱」
シルクハウス
22,000円(消費税込み)