淹れ方ひとつで味わいが異なるのが日本茶。茶葉に合わせた淹れ方のコツを、京都の老舗で訊いた。
ほうじ茶
柳桜園茶舗(京都・中京区)
香り高い日常の茶、ほうじ茶は熱湯で淹れよ
【抽出温度 100度】
「かりがねほうじ茶・香悦」の茶葉10gに対し沸騰させたお湯約210ccを急須に入れ、20~30秒待つ。茶碗に回し入れながら最後まで絞り切り、芳醇な香りとともにいただく。
明治8年(1875)創業で、裏千家をはじめ三千家家元や茶の湯ゆかりの大徳寺に贔屓にされる『柳桜園茶舗』は、茶道精通者にはよく知られる日本茶専門店である。今も宇治産の厳選茶葉を調合し、店舗奥の石臼で碾き、新鮮な碾きたての抹茶を販売している。
店内は抹茶の香りに包まれるが、近年は普段使いに好適な「かりがねほうじ茶・香悦」も人気だ。京風に浅めに焙じたすっきりと上品な香りと、しっかりした風味は、和食、洋食問わず食後の後口をさっぱりとさせてくれる。熱湯で淹れ、ほうじ茶の芳香を楽しみたい。
「かりがねほうじ茶・香悦」缶入り86g 1000円。かりがねとは、茎の部分が入ったお茶のこと。
缶には鳥獣戯画が描かれる。
薄茶用の高級抹茶「雅の白」40g 2400円。ほかに新茶の抹茶や初釜用抹茶など、季節限定品も用意している。
珍しい座売りの店舗。
●柳桜園茶舗 京都市中京区二条通御幸町西入る丁子屋町690 電話:075・231・3693 営業時間:9時~18時 定休日:日曜 取り寄せは電話、電話:075・231・2118
水出し玉露
一保堂茶舗(京都・中京区)
茶葉に氷をのせ、水を注ぐ。水出し玉露の旨味が涼を誘う
【抽出温度 10度前後】
急須に玉露の茶葉10gを入れ、茶葉の上に氷2~3個をのせて、常温の水200ccを注ぐ。蓋をして15分待てば、旨味成分のアミノ酸が引き出された水出し玉露が完成。
今から約300年前、お茶と茶器、陶器を扱う店としてその歴史が始まった『一保堂茶舗』。抹茶、玉露、煎茶、番茶の4種類約40銘柄を扱っている。京都本店には喫茶室『嘉木』があり、店員の説明に合わせて自身で淹れたお茶を、日替わりの季節の和菓子とともに楽しむことができる。
夏に向く水出し玉露は、水と氷で約15分抽出。まるで出汁のような濃厚な旨味があり、お茶だけでも充分に満足できるが繊細な和三盆やドライフルーツとよく合う。口の中で大きく膨らむ玉露の滋味をしみじみと味わってみたい。
ドライフルーツと相性のいい水出し玉露。ほかに少し塩気のあるナッツやチーズ、塩昆布などとも合う。食前酒感覚で旨味をじっくり味わうのも乙だ。
とろんとした独特の旨味を楽しめる玉露「甘露」小缶箱80g 4000円。水出しの2煎目は上と同じ手順で抽出時間7~8分、3煎目は3~4分にする。
●一保堂茶舗 京都市中京区寺町通二条上る常盤木町52 電話:075・211・4018 営業時間:9時~18時、喫茶室は10時~18時(最終注文17時30分)無休 取り寄せは0120・21・3423、0120・21・0280、オンラインショップ(※一保堂茶舗オンラインショップ https://shop.ippodo-tea.co.jp)で
『柳桜園茶舗』は地下鉄東西線京都市役所前駅から徒歩約6分。
『一保堂茶舗』は同徒歩約5分
●掲載店の営業時間、休業日は変更になる場合があります。
> ※取材・文/関屋淳子 撮影/宮地 工 写真提供/一保堂茶舗 この記事は『サライ』本誌2020年7月号より転載しました。
『サライ』7月号では、古来より日本人の健康を支えてきた「お茶」を大特集。健康のためにも、役立つ内容満載です。