写真・文/矢崎海里
粉のイメージが強い山椒ですが、6月頃はきれいな緑色の実山椒が出回ります。
実山椒はこの時期しか出回らないので、見つけたらぜひ手にとって頂きたい食材です。
そのままだとアクや辛味が強く下処理が必要ですが、粉山椒では感じられない爽やかでフレッシュな香りが特徴。
初夏を感じる実山椒、この時期の手仕事にしてみませんか。
今回は実山椒の下処理と、ちりめん山椒のレシピをご紹介します。
山椒の下処理方法
実山椒は下処理が必須となります。
アクや辛味をある程度抜くことで、食べやすく、特徴的な爽やかな香りもより楽しむことができますよ。
【アク抜き方法】
1.枝から実を外していく。少々枝が残っていても大丈夫です。手でも取れますが、はさみを使ってもよいでしょう。
実を取り終わったらボウルに入れ、水に漬けます。何度か水を取り替えながら、6時間以上漬けて下さい。
2.沸騰したたっぷりのお湯で茹でます。ふつふつと沸くくらいの火加減がちょうどよいです。
実が指の腹で潰れるくらいまで茹でたらざるにあげます。
3.軽く水で洗い流します。ここで味見をしてみて、えぐみが気になるようならしばらく水気を漬けておきます。水気を切ります。これで下処理は完了です。
ここでしっかりと水気を取り、冷凍保存をすれば1年程度は保存ができます。
ラップで小分けに包み、ジッパーつき保存袋に入れ保存します。
料理の彩りや山椒煮込み、お茶漬けなどに活用できます。
今回は、この下処理した実山椒を使って作るちりめん山椒のレシピをご紹介します。
ちりめん山椒
【材料】(作りやすい分量)
ちりめんじゃこ 50g
下処理済みの実山椒 大さじ3
★酒 50cc
★みりん 大さじ1
★醤油 大さじ1/2
【作り方】
1.★の調味料を鍋に入れ、火にかける。
2.沸いたら弱火にし、ちりめんじゃこを加え、数分煮る。
3.実山椒を加え、かき混ぜて水分を飛ばしながら煮る。
4.水分がなくなったら完成。清潔な保存容器に入れて、冷蔵で2週間、冷凍で1か月保存ができます。
ご飯のお供、おにぎりの具、お茶漬けなどに大活躍するちりめん山椒。
手作りをすれば、好みの味付けや配合にすることができます。
手間はかかりますが、しっかりと下処理をした実山椒を使うと、爽やかで新鮮な、市販品ではなかなか感じられないちりめん山椒に仕上がります。
ちりめんじゃこは、塩分控えめタイプを使うと市販のちりめん山椒より約1/2の塩分に押さえることができます。
煮詰めることで少量の醤油でもしっかり味が付き、山椒の風味もあるので、減塩タイプで作る方がおすすめです。
食塩相当量:大さじ1杯で0.6g(減塩ちりめんじゃこ使用の場合、大さじ1杯で0.3g)
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山椒はミカン科で、爽やかな香りと刺激的な辛味が特徴です。
いままで粉山椒のイメージしかなかった方も、今の時期しか楽しめない実山椒、一手間かけて楽しんでみてはいかがでしょうか。
文/矢崎海里(やざき・かいり)
管理栄養士やフードスペシャリストなどの資格を生かし、企業で働く傍ら、Webメディアでも活動。おいしく食べて健康になれるごはんを研究中。