写真・文/矢崎海里
春の七草では「すずな」という名前で親しまれているかぶ。
かぶの旬は諸説ありますが、秋から冬にかけてと、春に多く出回ります。
そのほか一年中手に入るかぶですが、日本全国にたくさんの品種があるのをご存じですか。
今回は多種多様なかぶの品種と、かぶの栄養を生かしたレシピをご紹介します。
あなたの地域はどんなかぶ?
日本では、約80種のかぶが栽培されていると言われています。
愛知・岐阜~福井を結んだ線を「かぶライン」と呼び、東西で異なった系統のかぶが栽培されています。
東は寒さに強い品種が多く、アフガニスタンからヨーロッパを経由して伝わった西洋系のものが多いのが特徴です。
品種も、北海道紫かぶ(北海道)、金町小かぶ(関東)、金沢青かぶ(石川県)、飛騨紅かぶ(岐阜県)と大きさも色もさまざま。
一方西は中国を経由して伝わった日本系統の品種が多く栽培されています。
京野菜として有名な聖護院かぶやすぐきなかぶ(京都府)、天王寺かぶ(大阪府)、米子かぶ(鳥取県)、伊予緋かぶ(愛媛県)、博多据りかぶ(福岡県)と、地域独特の品種が根付いています。
ここからは、旬のかぶを使った減塩レシピをご紹介します。
いくらがけかぶおろし
【材料】(1人分)
かぶ 1/2個
いくら 10g
かぶの葉 少々
【作り方】
1.かぶは皮をむき、すりおろす。葉は細かく刻む。
2.水気を切り、うつわに盛ったらいくら、かぶの葉を散らし完成。
かぶは大根と同じくアブラナ科の野菜です。
「おろし」と聞くと大根おろしをイメージするかと思いますが、かぶもおろすことで大根おろしのような食感に。
大根より辛味が少なく、旬のかぶの甘みといくらの塩気がぴったりです。
かぶには消化を助けるデンプン消化酵素、アミラーゼが含まれています。
アミラーゼは細かく刻んだり、すりおろすことで活性化し、加熱することで効果がなくなってしまいます。
食欲がない時や、胃の不調を感じるときは、かぶおろしと一緒に糖質を摂って、消化を助けましょう。
食塩相当量:0.2g
かぶのグラタンスープ
【材料】(1人分)
かぶ 1個
かぶの葉 1個分
有塩バター 5g
コンソメ 小さじ1/2
胡椒 少々
とろけるチーズ 10g
フランスパン 一切れ
水 100cc
【作り方】
1.かぶは千切りに、かぶの葉は細かく刻む。
2.鍋にバターを溶かし、かぶを炒める。
3.潰しながら10分ほど炒めるとペースト状になるので、水を加える。
4.沸いたらコンソメ・胡椒で味を調え、火を止め、かぶの葉を入れる。
5.耐熱容器に4を入れ、フランスパン・チーズをのせ、オーブントースターで軽く焦げ目が付くまで焼いたら完成。
通常は玉葱をトロトロに炒めて作るグラタンスープを、かぶでアレンジ。
玉葱より炒める時間も短く、かぶの甘みを生かしたスープです。
かぶの葉には、かぶの根以上に豊富な栄養が含まれています。
100gあたり、カルシウムは250mg(1日の約1/3量)、ビタミンAは230μg(1日の約1/4量)、ビタミンCは82mg(1日の約2/3量)含まれているため、捨てずに料理に活用しましょう。
それ以外にも食物繊維や鉄分、葉酸、ビタミンKなどがバランスよく含まれています。
かぶの葉は傷みやすいので、新鮮なうちに調理するのがポイント。
また、葉が付いたままだとそこから水分が蒸発してしまうため、買ってきたら切り分けて別々に保存するのがおすすめです。
食塩相当量:1.0g
* * *
旬の野菜は、店頭にも多く並んでいます。
どんな種類のかぶがあるのか、産地にも注目して選んでみて下さいね。
文/矢崎海里(やざき・かいり)
管理栄養士やフードスペシャリストなどの資格を生かし、企業で働く傍ら、Webメディアでも活動。おいしく食べて健康になれるごはんを研究中。