【ひと皿の歳時記~第111回】
京都『下鴨茶寮』のかぶら蒸し
京料理の冬の名物と言えば、一番に指を折るのが「かぶら蒸し」です。
かぶら(蕪)を摺りおろし、白身のぐじ(甘鯛)を包んで蒸し揚げ、それにお出汁を添えた極めてシンプルなご馳走です。
京都の老舗『下鴨茶寮』の冬の献立に欠かせない一品で、底冷えのする冬の京都で、この「かぶら蒸し」をいただくと、たちまち身体が温まってきます。
私がのれんをくぐった日、「かぶら蒸し」の後に出てきたのが、「鯛のお造り」でした。
刺身にされた鯛をよく見ると包丁の「冴え」がうかがわれ、その身の切り口が艶っぽく輝やいています。何もつけずに口に運ぶと、鯛の香りと優しい甘みが感じられ、箸先に醤油をちょいとつけてから口に含むと、鯛の旨味がぐっと増した感じがしました。一度、命を落とした鯛が、今一度その命を吹き返した瞬間でもありました。
店舗情報
店名 | 下鴨茶寮 |
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住所 | 京都市左京区下鴨宮河町62 |
TEL | 075-701-5185 |
営業時間 | 昼 11:00~15:00(14:00 L.O.) 夜 17:00~21:00(20:00 L.O.) |
定休日 | 毎週木曜日 |
URL | http://www.shimogamosaryo.co.jp/ |