取材・文/ふじのあやこ

家族との関係を娘目線で振り返る本連載。幼少期、思春期を経て、親に感じていた気持ちを探ります。(~その1~はコチラ)

今回お話を伺ったのは、都内で翻訳の仕事をしているみゆきさん(仮名・42歳)。大阪府出身で、両親と5つ下に妹のいる4人家族。小さい頃に覚えているのはマナーに厳しかった母親と、家の中で一番気を遣う存在だった父親。それでも家族仲は決して悪くなく、心配をかける子供でもなかったみゆきさんですが、人生で一番両親と揉めたことは大人になってから訪れます。揉めた原因はみゆきさんの結婚でした。

「両親が私の結婚に反対した理由は、結婚相手が10歳上のシングルファーザーだったから。母親は『苦労することは目に見えている』と頭ごなしに反対してきました。説得には1年ほどを要しましたね。認めてくれた後も、父親はいきなりできた孫との距離を掴めずに戸惑っていました」

娘のいい母親になるための努力はお弁当作りから。しかし、そのお弁当は捨てられていた

29歳で結婚したみゆきさんはいきなり小学校4年生の娘の母親に。両親とは正反対で、彼の連れ子は結婚をすぐに認めてくれたと言います。

「娘の母親、彼の元奥さんとは死別で、ガンだったと聞いています。離婚など、別の場所に本当のお母さんがいる状態でもなかった分、娘は初めて会った時から優しくしてくれていましたし、結婚の話が出た時もまったく反対されませんでした。だから私もいい母親にならなくては、と構えてしまったんだと思います。それがあの子にとって負担だったんでしょうね」

結婚当初はどこか他人行儀な関係が続きますが、みゆきさんは娘のためにさまざまな努力をしたそう。

「最初は上辺というか、みんながわからないように気を遣うような関係でしたね。夫は『一緒に住み続けることでいつか母親になれる』と長期スパンで考えていたようなんですが、私は少しでも早く母親と認めてもらいたくて。一緒に暮らしてからは、朝早く起きて娘のお弁当を作り、夜も彼女の好物を作り続けました。娘の好物をこっそり夫に聞いて、その料理を上手に作れるように練習し続けました。娘はお弁当も喜んで持って行ってくれたし、晩御飯もたくさん食べてくれました。多感な時期だったから避けられることもあったけど、時間を共有することで私と娘の距離は徐々にですが、近くなっていっている実感はあったんです。

でも、彼女の中では私のことを母親だと思ったことは一度もなかったみたいでした。お弁当は一切食べずに捨てられていることがわかったんです」

【次ページに続きます】

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