取材・文/ふじのあやこ

近いようでどこか遠い、娘と家族との距離感。小さい頃から一緒に過ごす中で、娘たちは親に対してどのような感情を持ち、接していたのか。本連載では娘目線で家族の時間を振り返ってもらい、関係性の変化を探っていきます。

「私の責任感の強さは母親ゆずり。もしかしたら負けん気の強さも母親に似たのかもしれません(苦笑)」と語るのは、真弓さん(仮名・35歳)。彼女は現在、静岡県で3人の子供を育てながら、専門職の仕事を続ける兼業主婦です。華奢で小柄な容姿は実年齢よりも若く見え、とても3人のお子さんがいるようには見えません。笑顔が多く、物腰の柔らかいところから、人当たりの良さを感じさせました。

父より8つも下の母親が一家の主。父は優しく母を見守っていた

真弓さんは東京の23区内の出身で、両親と3つ下に妹のいる4人家族。両親は生まれも育ちも23区内で、親族もすべて東京に集中していると言います。

「父親と母親はお見合いで知り合って、父親のほうが8歳上なので同じ学校ということはないんですが、2人ともずっと都内しか知りません。親族も東京だけですね。私は今でこそ嫁いで静岡にいるんですが、何かないと東京を出る理由が全くなかったから、両親そんな感じだったんじゃないですかね。昔は田舎に帰る同級生が羨ましかった時期もありましたが、今は東京って本当に便利だったなぁ〜と思う毎日ですよ」

両親の印象を聞くと、全く正反対の特徴を真弓さんは話し始めました。

「私の家は父親が年上でも、典型的なかかあ天下の家で、とにかく母親が強かった。反対に父親は寡黙なおとなしい人で、優しかった記憶しかありません。母は私たちにはもちろん、父にも強くあたるタイプでしたが、どんなにひどいことを言われても父は母に言い返したりしませんでした。母は妹が小学校に上がった時に寿退社後に初めてパートで働き出すのですが、その前から大黒柱はずっと母みたいな感じでした。

もしかしたら、私たちが生まれる前の結婚した当初から拭いきれない上下関係があったのかもしれません。お見合いの時に父はまったく相手が決まらない状態で、一方の母は1度目で父と出会ったと聞いています。母は父からしたら結婚の救世主だったのかも(苦笑)」

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