取材・文/ふじのあやこ
家族との関係を娘目線で振り返る本連載。幼少期、思春期を経て、親に感じていた気持ちを探ります。(~その1~はコチラ)
今回お話を伺ったのは、関西で15歳、13歳の子供を持つ専業主婦の典子さん(仮名・38歳)。大阪府出身で、母親と5歳上、3歳上に兄のいる4人家族。物心がついた時には父親の姿はなかったものの、母親、兄、そして祖父母の愛情を受けて、寂しい思いをすることなく育ちます。しかし、典子さんが小学生の時に2人の兄が非行に走り、同級生の男の子への不信感もあり、男性不振気味に。高校卒業後に職場で出会った12歳上の男性と23歳の時に結婚したことで、男性不振は過去のものへと変わっていったそうですが……。
「夫とはできちゃった婚だったけど、母親にとっては初孫で、生まれた時はとても喜んでくれました。もちろん祖父母も、兄も。お産の前に私は体調を崩して入院したんですが、仕事が忙しい夫に代わって、私の家族が交代で面倒を見に来てくれていました。その時にはすっかり兄へのわだかまりもなくなっていたと思います」
子育てにまったく参加してくれない夫。それを支えてくれたのは母と義姉だった
典子さんが結婚したそのわずか3か月後に一番上の兄も結婚。中学を卒業後すぐに働いていた兄の相手は、同じ職場で働く、兄より1歳上の女性。彼女も入院中の典子さんを支えてくれたと言います。
「お姉ちゃんというのは、兄と違ってここまで相談にのってくれるものなのかと、とても居心地が良くて。義姉のことは本当の姉のように、兄たちよりも近い距離で一緒に過ごす中で、とても大好きになりましたね。出産後はよくお互いの家を行き来するようになりましたし、義姉は母親との仲も良好で、3人と子供たちとでよく買い物に行ったり、忙しいお互いの夫抜きで旅行に出かけたこともあります」
親族付き合いはうまくいっていたものの、子供を出産した直後から、徐々に夫婦仲は傾いていたそう。
「夫は子供嫌いで、子育てにまったく参加してくれませんでした。子供が泣くと、『うるさい』と声を荒げる時もあって。さらには家のことをしてほしいから私には働きに出てもらいたくないと。パートなどであっても反対されました。私はもちろん赤ちゃんの時は一緒にいるべきだと思っていたけど、それが一生続くのかと思うと少しゾッとしました。そんな発言があってから、私の中で夫の存在が大切なものから、一緒にいなければいけない義務みたいなものに変わっていったというか。
でも、結婚してわずか1年ぐらいで、子供もまだ生まれたばかり。こんな気持ちを持っていることを母親に相談はできませんでした。夫は両親をすでに亡くしていて、私の母親と仲は良かったんです。私だけ我慢すればすべてうまくいくような環境だったから」
【次ページに続きます】