夕刊サライは本誌では読めないプレミアムエッセイを、月~金の毎夕17:00に更新しています。火曜日は「暮らし・家計」をテーマに、進藤晶子さんが執筆します。
文/進藤晶子
「がっちり、見てますよ〜‼」と、よく声をかけていただきます。とてもありがたいことです。
これまでもTBSのアナウンサー時代に『ニュース23』、夕方の『ニュースの森』、深夜番組『ランク王国』など、視聴者のみなさんから直接ご声援をいただくことが多かった番組も担当しました。
『がっちりマンデー』がそれらの番組と少し違うのは、「おもしろい!」と言ってくださる方の年代が、小学生から70〜80歳代までと幅広いこと。これは視聴者層が明確に細分化される昨今、大変珍しいことだと感じています。
2004年の番組スタートから14年が経ち、だんだん長寿番組の域に入ってきました。当初、「バラエティの制作局が経済番組を作るなんて大丈夫?」と、報道局経済部の記者が心配し、ハラハラした表情で収録を見守ってくれたことを懐かしく思い出します。
“若夫婦”という設定で、MCの加藤浩次さんと私が、世の中のお金の仕組みを学び、月曜日から実践するというのがそもそものコンセプト。今でこそこの種の番組が増えましたが、当時お金や企業をテーマに扱う番組はさほどなかったように記憶しています。
『地味だけど、おらが県こそ輝くNo.1』
『スゴイ社長たちが大集合・新年会』
『せまい業界シリーズ』
などの人気シリーズも含めて、経営に精通したいわゆる“プロ”の方々から「独自の切り口で興味深い」という感想をいただくのも、ひとえにリサーチと取材に2か月近い時間をかけるディレクター陣の存在があってこそです。
視聴者の意表をつくテーマ選びのポイントを、14年間総合演出を務める大松雅和さんに聞いてみると、「世の中で流行っているトピックを真正面からそのまま扱うことはしないようにしています。あとは、ちょっとネガティブな入り口を心がけています」とのこと。
その彼の情報源は日本経済新聞や週刊東洋経済と、意外と王道。でも、経済記者にとっては当たり前でも、バラエティやドラマ制作の現場で経済誌を愛読している人は稀な存在なのだそうです。
日本経済の動向や最先端テクノロジーが大好物という得意分野を生かし、時流に流されない視点を持つこと、これが番組を長くご愛顧いただけている秘訣のひとつなのかもしれません。
制作陣は深い思考と戦略で情報を発信していますが、かたや私は、常々“黒子”でありたいと考えています。視聴者と制作者をつなぎ、情報やメッセージを伝えるための糸電話の糸のような存在でいたい、と。そのためには事前の準備が必要ですし、生活者の視点や素直な反応が大切だと思っています。
この番組を担当したことがきっかけとなり、私自身のライフスタイルにもプラスになる面が多々あります。これから毎週少しずつ、お話させていただきますね。
文/進藤晶子(しんどう・まさこ)
昭和46年、大阪府生まれ。フリーキャスター。元TBSアナウンサー。現在、経済情報番組『がっちりマンデー!!』(TBS系)などに出演中。